宮崎空港における不発弾爆発事故は空港内の全面調査が必要では?

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 10月2日の午前8時前に宮崎空港の滑走路近く(S6誘導路)で爆発が起きました。現場では大きな穴(直径約7メートル、深さ約1メートル)が開き、表面のアスファルトの破片などは直径約400メートルに飛び散っています。当然、滑走路は閉鎖されて約6000人に影響が出たと報じられています。爆発したのは羽田行きの航空機(JAL)が通過してから2分後という報道もありました。

 今回爆発したのはアメリカ製の500ポンド(250Kg)爆弾で、太平洋戦争中に米軍が投下したとみられる不発弾ではないかと報道されています。宮崎空港は1943年に旧海軍の飛行基地として建設されたため、戦時中は何度も空襲を受けました。宮崎空港周辺では過去15年間に4回も不発弾が見つかっています。宮崎市内で1956年以降に見つかった不発弾24発のうち5発が宮崎空港の敷地内で発見されたという報道(読売新聞)もあります。

 宮崎空港の開港は70年前なので当時の資料を確認することができず、不発弾の調査をしたかどうかは判っていないということです。本来の手順では2メートルの深さまで探査できる金属探知機などを使って調査することになっていますが、今回の不発弾について過去に調査が行われたか否かは判っていません。爆発があったS6誘導路は平成に入ってから拡幅された誘導路でその際に広げた場所と見られています。平成に入ってから工事をしたのだとすると、なぜ不発弾を見つけることができなかったのは不思議でなりません。

 国交省宮崎空港事務所では、「空港全体を再確認するやり方もあるかもしれないが、利便性とバランスを考えて陥没した部分の埋め戻しが完了でき次第、空港の運用を再開する」としています。

 今回の報道を見ていて怖かったのは、他に不発弾が埋まっている可能性はないのか?ということです。1956年以降で5発の不発弾が宮崎空港の敷地内から見つかっているということですが、結局はきちんとした調査を行わなかったから今回の爆発事故が起こることになったとしか考えられません。宮崎空港事務所では「利便性とバランスを考えて」という発言をしていますが、人命にかかわるような事態とバランスが取れる利便性というものはあるのでしょうか。

 ハインリッヒの法則で1件の大事故の裏側には、ハッと驚く中事故が29、小さなヒヤリが300あると言われています。大きな事故を防ぐためにはヒヤリのうちに原因を追究して安全性を担保しなければいけません。人命と利便性は天秤にかけるようなものではないので、きちんとした調査を実施してほしいです。

 2011年に中国の高速列車が脱線事故を起こしたときに、車両を地中に埋めてしまい批判を集めたことがありましたが、今回の宮崎空港での爆発事故の対応も、このときと同じように杜撰な対応なのではないかと心配になりました。