JR東日本は2028年度末までに中央線快速、中央線・総武線各駅停車を中心に、53駅129番線のホームドア整備を進めることを発表しました。(2025年度の整備計画は9駅18番線に留まります)
この結果、2028年度末時点でホームドアの整備完了駅および番線数は、131駅287番線となり、JR東日本東京都内6割以上の番線でホームドアが整備されることになります。
東京新聞の報道によれば、驚くことに中央快速線の東京駅‐高尾駅間でホームドアの設置駅はゼロ駅だったとのことです。「鉄道人身事故データベース」で調べてみると、2024年1月から2024年12月までの1年間で発生した人身事故は32件もありました。
中央快速線は人身事故が多く電車の遅れが頻繁に発生するため、通勤でこの路線を利用しているときは、かなりの時間の余裕をもって動かないと会社に遅刻してしまいます。
これほどまでに人身事故の多い路線で、ここまでホームドアの設置が遅れている理由は、JR東日本では電子部品の入手困難を理由に挙げています。しかし、中央快速線で今まで進められてきた、グリーン車の2両増結による影響があったのではないかと思います。グリーン車2両を増結するのでホームの延伸工事が必要であったことと、12両編成になることにより車両の停止位置が変わってしまうことで、ホームドアを設置できなかったのではないでしょうか。
ただ、並走する中央総武各駅停車のホームドア設置が一部に留まっている理由はよく判りません。中央快速線のホームドア設置が遅れているので、中央総武各駅停車の工事を先行させることに躊躇があったのでしょうか。
2024年から中央快速線の車両には順次、グリーン車が2両ずつ組み込まれており、12両編成化が進んでおり、全編成で対応が終わったあとの、2025年3月15日からはグリーン車利用が有料となります。
この12両編成化に目途が経ったことから、今回のホームドア設置についての発表という形になったのでしょう。
NEWSポストセブンの記事によれば、中央線へのグリーン車導入で、JR東日本は年間80億円の増収効果があるとされています。ホームドア設置による安全対策よりも増収対策が優先されてしまったことは、とても残念なことだと思います。