二酸化炭素(CO2)の添加には様々な方法がありますが、何と言ってもコストパフォーマンスが一番良いのは大型高圧ガスボンベ(通称みどぼん)による添加でしょう。私もここに行き着くまでには色々な方法を試してきました。最初から大型ボンベにしておけば、どれだけ、無駄な投資をしなくてすんだかと悔やまれます。ミドボンに至るまでの、いままでのCO2添加の歴史を紹介します。
第一世代 プッシュ式定圧ガスボンベ+拡散筒
二酸化炭素はどれを使って添加すればよいだろうと色々商品を見ていると、最初に目に付く商品がこれではないでしょうか。

お手ごろ価格でボンベもなんだか大きくてお得そう、そしてCO2添加に必要なものが一通り揃っているとくれば、「最初はこれを買ってやってみよう」と誰もが思ってしまいます。しかし、拡散筒を数回しかいっぱいに出来ないし、毎朝、拡散筒に残った気体を排出して、CO2定圧ボンベから「プシュー」と拡散筒にCO2を入れて、という作業をやらなければいけなく、これがとっても面倒くさい。ボンベが空になるころには、もう嫌になってしまいました。
そんなときに出会ったのが、パソコン通信(Nifty-Serve)にあったFAQUAというフォーラムです。ここには貴重な情報が山のようにあって、過去ログも含めてむさぼるように読みました。その中にあったのが、イースト菌を使った発酵式のCO2添加方式です。
第二世代 発酵式CO2発生装置+強制添加用拡散筒
薬局で売っている500mlの精製水容器の中に半分くらいの砂糖ゼリーを作って冷蔵庫で固めたあとに、50mlくらいの若干のグラニュー糖とイースト菌を入れたぬるま湯を中に入れて、連続的にCO2を発生させるようにしていました。3週間くらいは大丈夫だったと思います。いつも冷蔵庫の中には2~3本の砂糖ゼリーが入った精製水容器を入れておき、いつでも、取り替えられるようにしておきました。ずっと連続的に1秒1泡から2秒1泡程度のCO2を連続的に発生させてくれるため、なかなか優れものでした。
砂糖ゼリーは1ヶ月に1回程度、休みの日にまとめて作っていたのですが、これも面倒といえば面倒で、いつかはCO2高圧ボンベで強制添加をしたいなと思っていました。
第三世代 小型高圧CO2ボンベ+レギュレータ+ミスティ
このころになると、ADAやJAQNOといったAQUA専業メーカから、小型高圧CO2ボンベ用のレギュレータがいくつか発売されるようになりました。レギュレータには大きく分けて2つの種類があって、CO2ボンベの内圧をそのままに排出するタイプのレギュレータと、スピードコントローラや電磁弁などのCO2パーツを使うことができる減圧機能付きのレギュレータがあります。最初は何も判らず、ADAの減圧機能が無い一番安いタイプのレギュレータを買ってしまったのですが、これは失敗で、続いて、よく勉強してからJAQNOのポニーという減圧機能付きのレギュレータを購入しました。
このポニーというタイプのレギュレータは、プッシュ式の良さと減圧機能付きレギュレータの良さを併せ持ったなかなか使い勝手の良い商品だったのですが、新しいCO2ボンベに取り替えようとしたときに壊れてしまって、急にCO2が吹き出す事故があって、メーカに事情を話して新品に取り替えて貰いました。
CO2ボンベの入手にあたっては、最初は熱帯魚屋さんで一本800円程度のボンベを購入していたのですが、その後、酒屋さん関係の卸店から一本500円弱で購入できるルートを開拓し、しばらくはこのルートを活用していました。(この卸屋さんには最初は大型の炭酸ガスボンベをレンタルすることはできないか頼んでみたんですが、ビールサーバに使う大型ボンベを食品以外の用途に使うのは問題があると一旦断られたのですが、変わりに「こんなものならばあるけど使えるかな?」と出してきてくれて、これが見た瞬間、熱帯魚用の小型CO2ボンベと全く同じ規格だと判ったので、そのまま購入するようになりました)
ADAの小型ボンベについては酒屋さんルートで購入できるミニボンベと互換性が無いようなので、下記のようなADAのシステムを使っている方は注意が必要です。
さらに、通販で、「中古未開封のCO2小型ボンベ」というもの売られているのを見つけて、最近ではこちらを購入しています。GREENSというお店で購入しました。60gと普通のボンベよりは若干小型なのですが、10本で3000円というとっても安い値段で入手することができます。これはあくまでも予想なのですが、消化器の中にCO2ボンベが入っていて、これが定期点検のたびにボンベを入れ替えることが義務づけられているようなのですが、このときに消化器から取り出したボンベを安く売ってくれているのかなと思っています。このお店は、その他のADAが売っている商品、たとえばCO2のチューブや2分岐、3分岐装置、微調整用のバルブなどと同等のCO2関連商品を非常に安く売っているので、通販をお願いしてみると良いと思います。
第四世代 大型CO2ボンベ+レギュレータ+CO2ミキサー
ある日、近くの熱帯魚屋さんをのぞいてみると、大型(1.5Kg)のCO2ボンベを売っているのを見つけました。値段は確か、1万3千円程度だったと思います。ガスの再充填は3000円程度ということだったので、すぐに購入することにしました。レギュレータはJAQNOの大型ボンベ用のものを購入しました。後日、CO2の溶解のために、ほぼ100%の溶解を期待できるJAQNOのCO2ミキサーという商品を購入しました。さらに電磁弁を購入して、ライトが点灯している時間だけCO2が添加されるようにしました。これで快適な環境のできあがりです。ボンベはだいたい半年から1年程度もつようです。再充填は購入した熱帯魚店でお願いして、ほぼ完璧な環境を整えていました。しかし、この熱帯魚店が潰れてしまったのです。

第五世代 酒屋さんレンタルCO2ボンベ+レギュレータ+CO2ミキサー
【2025年4月24日追記】
各ビールメーカーの指導により、本来の生ビールサーバー以外への液化炭酸ガスボンベの貸し出しは各酒店とも困難な状況になっています。
炭酸ガスボンベは大型のボンベを使っていて、いつもは近くの熱帯魚屋で再充填してもらっていたのですが、その熱帯魚屋が閉店してしまったため、再充填するのが困難な環境になってしまっています。仕方がないので、電話帳を使って「酸素屋」を探してみました。酸素屋は医療用や溶接用に各種のボンベを卸しているところで、もし近くにそれがあれば、再充填してもらうことができます。しかし、残念ながら近所に酸素屋は無いようでした。
炭酸ガスボンベは大型のボンベを使っていて、いつもは近くの熱帯魚屋で再充填してもらっていたのですが、その熱帯魚屋が閉店してしまったため、再充填するのが困難な環境になってしまっています。仕方がないので、電話帳を使って「酸素屋」を探してみました。酸素屋は医療用や溶接用に各種のボンベを卸しているところで、もし近くにそれがあれば、再充填してもらうことができます。しかし、残念ながら近所に酸素屋は無いようでした。
こんなことで、へこたれていてもいけないので、とっておきの、酒屋さんからレンタル作戦に切り替えました。これは前から実行しようと思っていたのですが、酒屋さんから「怪しい」と思われそうで、何となく避けていた方法です。
本来は酒屋さんは、ビールサーバを使うために二酸化炭素のガスボンベを扱っているのですが、たいていの場合は「水草の育成に使います」というと、いやがられることも多いとレポートがよくあります。
インターネットで近所にある酒屋さんの中でも特に大きそうな酒屋さんを選んでみました。この酒屋さんは自分でホームページも開設していて、なかなかIT化も進んでいます。先進的な考えを持っている酒屋さんならば相談にのってくれるかもしれないと思い、まずは、メールで「ビールサーバ用の炭酸ガスボンベは扱っていますか」という趣旨のメールを送ってみました。すると30分もたたないうちに、「扱っていますが今は在庫はありません。なぜビールサーバを入手したお店からレンタルしないんですか?」という趣旨のメールが帰ってきました。
やっぱり、変な用途に使うのではないかと、疑っている様子です。疑いをもたれた時は、まずは正直に何のために使うかを連絡するというのが鉄則と聞いていたので、下記のホームページを紹介しつつ、「困っているのでレンタルすることはできないか」と頼んでみました。
すると、また30分もたたないうちに返事がかえってきて、意外な使用方法に感心しつつ、快く、ボンベの借用をOKしてくれました。しかも、レギュレータの口径が合うか否か等、細かい気配りまでしてくださって感謝感激です。
ガス料が約2000円、保証料が5000円で、最初は7000円払って、以降はガス代の2000円だけ払えば、常に満タンの5Kgボンベに取り替えてくれると言うことで、とてもコストパフォーマンスが良くなりました。
ボンベを取り寄せてもらって、今度の土曜日に引き取ることになります。また、使い勝手等については報告します。
(追記)
ミドボン(みどぼん)を借りてきました。写真を撮りましたので紹介します。
![]() | ミドボンの全景です。細長いタイプではなくてズッシリと寸胴タイプなので、非常に安定感があって良い感じです。こちら側の面から見ると「液化炭酸ガス」と書いてあります。酒屋さんから借りたような感じではありません。 |
![]() | 上記の写真の裏面から撮った写真です。こちらから見ると、大きく「サッポロビール」と書いてあります。酒屋さんから借りたビールという感じがします。酒屋さんから借りてきたボンベというものはMYボンベではないので、汚いものが来るのかな?と勝手に思っていたのですが、まるで新品のような新しいボンベを貸して貰えました。酒屋さんには用途を話していたので、気をつかっていただいたのかもしれません。 |
![]() | ボンベには簡易な残量計が付いています。私が持っているレギュレーターは残圧が計れないタイプなので、残量計が付いているのは非常に嬉しいです。 |
![]() | レギュレータはジャレコの製品を使っています。今はジャレコの製品は手に入れにくくなってしまいました。レギュレータは小型ボンベ用のものは使用することができません。必ず大型ボンベ用のレギュレータを購入する必要があります。楽天市場で探してみると、下記の商品が売られていました。 |
(2006/05/06追記)
ミドボンは実に便利です。結局、酒屋さんから借りた5Kgのガスボンベは2年近く持ちました。今日になって水槽の点検をしていると、残量計がゼロになっていることに気がつきました。同じ酒屋さんにボンベの交換をお願いしようと思ったのですが、道路の拡幅工事で一時、営業を休止しているようです。仕方がないので他の酒屋さんが無いかネットで調べてみると、東京23区およびその近郊をに注文後2時間で配達することをうたった酒屋のチェーン店がありました。私の家も配達エリアに入っているようなので、さっそくオペレーションセンターに電話すると下記のようなやりとりで簡単に注文ができてしまいました。
私 炭酸ガスボンベを配達してもらえますか?
オペレータ はいわかりました。こちらに電話をいただくのは初めてですか?
私 はい
オペレータ それではまず電話番号から戴けますか?
私 XXX-XXXX-XXXX
オペレータ 続いて住所を戴けますか?
私 XXXXXXXXXXXX
オペレータ 続いてお名前を戴けますか?
私 XXXXXXXX
オペレータ ボンベは一番小さな5Kgのタイプでよろしいですか?
私 はい
オペレータ それでは7310円になります。
私 空のボンベがあるので引き取りをお願いします。
オペレータ それでは2310円です。配達は今日の18時から20時の間でよろしいですか?
私 はい
ビールを注文するのと同じくらい手軽に注文ができてしまいました。ネットで検索をしてみると、このお店でアクアリウム用のボンベを借りている人も多いようです。便利です・・。
(2006/05/07追記)
今回、大型ボンベを手に入れるのにあたって、ネットで色々と調べてみたのですが、あまり、「酒屋さんからボンベをレンタルする」という表現は正しくないようです。たとえば、瓶ビールを購入するときには、瓶をレンタルして貰ったとは言わないですよね。あくまでも瓶は保証金を取られているだけで、瓶を酒屋さんに持って行くと保証金を返して貰えます。これに近いのが今回の炭酸ガスボンベです。従って酒屋さんに炭酸ガスボンベのレンタルをしていますか?と聞くのはよくないようです。酒屋の人はレンタルと聞いてもピンとこないので、レンタルはしていませんと答えてしまうためです。ビールサーバーに使う炭酸ガスは扱っていますか?程度で切り出すのが良いようです。
近所に炭酸ガスボンベを扱っている酒屋さんが無い場合でも、少々割高にはなってしまいますが、入手する方法があります。WaterPlantsWorldさんにお願いする方法です。サイトは下記のURLです。
このショップの案内を見ていると、このお店から買った大型ボンベのみ再充填を引き受けてくれるようです。
(2006/06/03追記)
CO2の添加にはCO2ミキサーという製品を使用しています。この製品は外部フィルターから出てくる水と二酸化炭素を容器の中で攪拌して、できるだけたくさんのCO2を溶かしてしまおうというコンセプトの製品です。確かにたくさんのCO2が溶解できて無駄が無いような気がします。また、パレングラスなどと比べると、特にメンテナンスをする必要もない点は特筆すべき点ではないでしょうか。お薦めのCO2添加器具です。



この商品、非常に優れた商品ではあるのですが、一つだけ欠点があります。その欠点とは、CO2が水の中に添加されていく様子を普段は確認していくことができない点です。というのも、外部フィルターと一緒に水槽台の中に入れてしまっているので、添加の様子を確認するためにはかがみ込んで確認しなければいけません。これは少々面倒くさいので、押し入れの中で眠っていたジャレコのミスティという商品をCO2ミキサーと一緒に併用することにしました。このミスティという製品はADAでいうところのパレングラスに相当する製品で、水槽の中に細かいCO2の泡を発生させるための装置です。


このCO2ミスティへはミドボンからの二酸化炭素を途中で二分岐して、各々にスピードコントローラーを付けて、CO2ミキサーとミスティに対する流量を独立して調整することができるようにしました。


また、ミスティからの小さな泡が吹き出てくる部分に外部フィルターから出てきた水流をぶつけるようにして、小さな泡が水槽の中に舞い飛ぶようにしました。水の中をフワフワと小さな泡が舞い乱れる様子はとても綺麗です。また、これは綺麗なだけではなくて、ミスティから出てきた泡が水面に達する前にできるだけ水中に溶け込むようにするためにも良い効果があると思います。
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