インターネットが普及する前は、パソコンを使って外部とコミュニケーションをするためには、もっぱら、パソコン通信が使われていました。今から考えれば速度のとっても遅いモデム(9600bps)を電話線につなげて、NiftyServeやPC-VANといったパソコン通信会社に接続して、チャットや掲示板、そして会議室でのディスカッションを楽しむというものでした。
その後、電話線の上にデータ通信をする技術も少しずつ進歩して、通信速度が多少は上がりましたが、大きなフリーソフトをダウンロードするときには、ずいぶん時間がかかることもありました。
検索などは、今から考えれば信じられないほど行いにくかったですが、それでも情報を入手するためには、とても有力な手段でした。特にパソコンや周辺機器を購入する前に諸費者の生の声を調べるようなときに重宝だったのを覚えています。当時は「ぴあ」などの情報誌が全盛期で、そこから必要な情報を見つけ出すのが流行ではありましたが、パソコン通信ではもっとマニアックな最新の情報も見つけることができて、重宝しました。
その後、インターネットが徐々に普及していきます。Windows3.1の頃にはTCP/IPプロトコルを実現するためのソフトウエアを購入しパソコンにインストールしたあとで、ネットスケープナビゲーターをインストールして、それではじめてネットサーフィンができるという感じで、とても初心者が簡単に始められるようなものではありませんでした。また、パソコン通信のアクセスポイントはかなりいろいろな場所に開設されていたので、比較的安い電話料金で楽しむことが出来ましたが、ベッコアメなどのインターネットプロバイダのアクセスポイントは都心部などにしかなかったので、INSなどで接続するのにも通信費が気になりました。従って、まだこの頃はパソコン通信が全盛でした。
時代が大きく変わったのはWindows95の発売です。TCP/IPプロトコルを実現するドライバが標準でOSに具備されていました。また、Plus!という別売りパッケージを購入すれば、インターネットエクスプローラーが付いてきたので、ネットサーフィンも簡単にできるようになりました。この頃には、大手のプロバイダがインターネットに接続するためのアクセスポイントを随所に開設していったので徐々に通信費を心配する必要もなくなっていきました。
その後、ADSLが登場して常時接続することができるようになりました。これは光ファイバーなどを新たに引く必要が無く、従来の電話のメタル回線に冗長してデータ通信の信号を流すことができる技術です。月額定額の使用料とプロバイダ料金を支払うだけで電話代を気にして通信をする必要が無くなりました。この頃からパソコン通信は徐々に使われなくなっていきました。
やがて、パソコン通信会社はそのままインターネットプロバイダーとして今でも活躍していますが、その一つがBIGLOBEです。パソコン通信当時はPC-VANでした。NECが運営しているところです。
そのほかには、Nifty-Serveがありました。こちらは富士通系列の会社です。現在も、株式会社NIFTYとしてプロバイダ事業を運営しています。
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