家庭内LANの構築と運用(有線LANと無線LAN)

 ネットワークはコンピュータ同士やプリンタなどの周辺機器を接続し互いの情報や機材を共有できる環境を指します。このネットワークは規模や接続方法に応じていくつかの種類に分類することが出来ますが、LANはその中の区分の一つです。LANとはLocal Area Networkの略で、ある限られた範囲で張り巡らされたネットワークのことを言います。これに対して、WANという言葉があります。インターネットはこのLANどおしをWANで接続していって世界規模のネットワークを構成しているものです。

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家庭内LANの構成

 当初は各家庭にパソコンは1台だけで、周辺機器もそのパソコンから直接つながっているのが普通でした。しかし、各家庭にも複数のパソコンが導入されはじめて、パソコン間の情報交換がフロッピーディスク等によるやりとりでは扱いきれないほどの量を交換するようになってきて、LANが爆発的に普及してきました。私の家でもISDNを使っていた当時にLANを導入し、ISDNとの接続もダイヤルアップルータを使用し始めた頃からLANを本格的に使い始めました。

 LANに関してはALL ABOUT JAPANのLANカテゴリにも詳しく解説がありますので、あわせてご覧ください。

(1) LANの基礎知識   (2003.2.8追記)

 現在はスター型のネットワークを使用するのが普通になっています。スター型とは一つのHUB(ハブ)を中心に複数のパソコンを接続するLANの形態です。

☆ ネットワークケーブル

 イーサネットの規格には代表的には4つの種類があります。

規格ケーブルの種類最大長最大接続台数接続型
10BASE-Tツイストペアケーブル100mハブのポート数スター型
10BASE-2軽量同軸ケーブル185m30台バス型
10BASE-5同軸ケーブル500m100台バス型
100BASE-TXツイストペアケーブル100mハブのポート数スター型

 この中でLANでもっとも使われているのは10BASE-Tと100BASE-TXです。特に最近では100BASE-TXのネットワーク機器が非常に安価になってきていますので、100BASE-TXの対応品を購入することをお勧めします。

 ネットワークケーブルにはストレートタイプとクロスケーブルがあります。クロスケーブルはHUBを介さずにパソコンを直接接続するとき等の特殊な場合に使う物なので、購入時は間違わないように注意してください。

LANケーブル

 使用するLANケーブルの品質を表す言葉として「カテゴリー」というものがあります。数字が高いほど品質はよくなります。比較的低速なLANである10Base-Tではカテゴリ3以上のケーブルが使えますが、高度なLANである100Base-TXではカテゴリ5以上のケーブルを使う必要があります。

☆ ネットワークインタフェースカード

 LANに接続するコンピュータにはネットワークインタフェースカード(NIC)が必要です。最近ではパソコンに標準的にLANポートが付いているのが普通になってきました。ブロードバンド対応と称しているパソコンにはLANポートが付いている物が多いようです。もし付いていない場合にはNICを購入します。デスクトップパソコンの場合にはPCIバスに挿すタイプ(またはUSBタイプ)、ノートパソコンの場合にはPCMCIAスロットに挿すタイプ(またはUSBタイプ)のものを購入します。USBタイプのものは古い物だと実効速度が5Mbps程度の速度しか出ない物がありますので注意が必要です。USB2.0に対応している物ならば安心かと思います。

ネットワークインタフェースカード

☆ ハブ

 ケーブルを分配するために使われるハブは本来はLAN用の機器でありLANをくむ場合には必要になる機器です。従って、ブロードバンドルーターを購入しようとしている場合もすでに自宅にLANをくんでいる場合にはハブをすでに所有している場合が多いとおもいます。しかし多くのブロードバンドルーターにはハブの機能も同時に内蔵されているため既に持っているハブは必要なくなる可能性もあります。また、これからLANを構築しようとしている場合にはハブの機能がブロードバンドルーターに内蔵されていれば新たにハブを購入する必要がないかもしれませんので、ブロードバンドルーターの説明書をご覧ください。

 ハブにはリピータハブとスイッチングハブがありますが、スイッチングハブのほうが性能的には有利なので、どんなにリピータハブが安くても避けた方が良いかと思います。

スイッチングハブ

☆ IPアドレス

 LANの中でふるIPアドレス(ローカルIPアドレスといいます)は、そのLANの中で一意にふる、各ネットワーク機器やパソコンの住所のようなものです。LANの中でふるIPアドレスは以下の体型の中から選んでふっていきます。

クラス先頭1ブロックネットワーク範囲プライベートアドレスの予約範囲ネットワークアドレスIPアドレス数
クラスA0~1270.0.0.0~127.255.255.25510.*.*.*先頭1ブロック1677万
クラスB128~191128.0.0.0~191.255.255.255172.16.*.*先頭2ブロック6万
クラスC192~223192.0.0.0~223.255.255.255192.168.*.*先頭3ブロック256

 一般的には家庭内LANではクラスCからふることが通常です。私も192.168.0.X等のIPアドレスを使用しています。

(2) ADSL(8M)導入初期

 まだADSLモデムのルーター化を行っていないときは以下のような構成になっていました。

家庭内LAN構成

 ADSLモデムとルータは電話線のモジュラージャックがある居間に設置されています。そこから、子供部屋、書斎をまたがって、100BASE-TXを使い配線してあります。一応、iCOM社製の無線LANも入れてあるのですが、1Mbpsの速度しか出ない製品であるため、他の部屋でノートパソコンを使ってインターネットをやるときに使っています。インターネットをやる程度の用途であれば1Mbpsでもかなり使うことが出来ます。

(3) ADSLモデムのルータ化後

 ADSLモデムのルータ化を行った後は、上記の絵の構成の中で、ルータの位置に1段目のHUBを設置した形となって、ルータは取り外しました。最初はときどきADSLのリンク切れが発生していましたが、AMラジオ帯域用のノイズフィルターを入れた後は非常に安定するようになりました。シンプルな構成になりました。

(4) フレッツADSLモアへの変更後

 フレッツADSLモアへ変更した後は、モデムがルータと共用することができなくなったため、再び、有線のブロードバンドルータ装置(BEFSR41)を引っ張り出してきて、上記の絵にあるような構成に戻りました。また、THINKPAD760は自宅サーバとして次の役目を果たし始めました。ICOMの無線LANアクセスポイントは売却し、11Mbps対応の無線LANアクセスポイント装置を導入しました。このアクセスポイントはルータ機能も付いている優れものなのですが、スループットが6Mbps程度しか無いため、ルータの機能は使わないこととしました。(BEFSR41はファームウエアを最新のものに更新することにより8Mbps程度のスループットがあるようです)

(5) プロバイダ

 プロバイダは、まだパソコン通信だった時代から、ずっと@niftyを使用しています。ADSLの回線速度も朝と夜とであまり変動が無いようなので、バックボーンの太さは申し分が無いように思います。最近はYahoo-BBが驚異的にシェアを伸ばしていることもあって、新規加入者の特典を増やしたり、IP電話の無料モニターを募集したりと、非常に積極的なプロモーション活動を展開していますので、安定したサービスをお望みの方にはおすすめだと思います。。

(6) IP電話導入後の構成    (2003.1.25追記)

 こちらのホームページでレポートをしたIP電話の導入以降は、ルータ機能付きのIP電話用TA(富士通製)が貸与されたため、LINKSYSのBEFSR41をネットワークから外して、貸与されたTAを変わりにネットワークへ接続しました。特にネットワーク速度の低下等はありませんが、自宅のグローバルIPアドレスを打つと、TAの設定ページが開かれてしまうため、ここだけはTAのファームウエアアップデート等の手段で改善してもらいたいと思っています。

(7) LivingGate導入後の構成   (2003.2.1)

 LivingGateという商品を購入し、ネットワーク構成に変更がありました。以下のような形で、現在は運転をしています。

家庭内LAN構成

無線LAN

 11Mbpsという最大通信速度のIEEE802.11bの無線LANですが、ADSLの速度が1.5Mbps程度のときは、特に無線LANがボトルネックになることも無く問題は無かったのですが、その後、ADSLの速度が8M、12Mと早くなるのに伴って、無線LANの速度がボトルネックになるようになってきました。当初は802.11bで十分な速度だったので、ほとんど店頭で見る商品は11Mbps対応をうたう製品がほとんどだったのですが、最近では徐々に54Mbpsの通信に対応した商品が登場しはじめています。

 最大54Mbpsをうたう製品の中で、いち早くこれを実現した製品がIEEE802.11aという規格です。徐々に店頭にも姿を現しだし価格も手ごろになってきていたのですが、使っている周波数帯が5.2GHz帯で、これは11a専用に割り当てられている帯域でありほかの無線LANとの干渉による危険が少ない反面、既に大きなシェアを持っているIEEE802.11bとの互換性が無いこと、および通信距離が短いことがデメリットとなり爆発的な普及にはいたっていません。

 次にIEEE802.11g準拠の商品が市場に現れ始めていますが、現在(平成15年5月)に至っても正式な規格に至っていないため、今後、規格自体が変更になる可能性があります。すでに発売済みの商品もファームウエアのアップデートで正式版にも対応できるように対応してくるものと思われます。IEEE802.11gは54Mbpsの高速通信が可能なことに加え、11bとの互換性があることが最大の特徴です。使用周波数帯は11bと同じ2.4GHzなので、11b同様に他の電波と干渉を起こす可能性があるのはデメリットとなります。

用語説明特記事項
ESS-ID無線LANをグループ分けするためのIDのことをESS-IDと呼びます。製品によっては「SS-ID]と呼ばれていることもあります。アクセスポイントと同じESS-IDを無線LANカードのほうにも設定することにより、アクセスポイントとの間で通信を行う準備ができます。
MACアドレスフィルタネットワークアダプタ製品には有線LAN製品であろうと、その装置に固有のIDであるMACアドレスというものを持っています。無線LANカード等にも同様にMACアドレスを持っていますが、アクセスポイントのほうで接続する装置のMACアドレスを指定することにより、指定したMACアドレス以外のクライアントを接続しないようにするのがMACアドレスフィルタの役割となります。これを指定することにより、他のクライアントからは接続しにくくなり、セキュリティを高めることができます。
WEP無線通信のパケットを暗号化して、仮に通信内容を第三者に傍受されても通信内容を解析されにくくするための仕組みです。暗号キーの長さにより40ビット、128ビットなどの種類があります。しかし、この暗号化規格にもすでに脆弱性が報告されていて、より強力な暗号化規格であるWPAを採用する無線LAN製品も現れてきています。
Wi-Fi無線LANの業界団体「WiFiアライアンス」による互換性テストを受けた製品に与えられるブランド名です。
アドホックモード無線LANクライアント同士が直接通信を行う接続方式です。これに対して、アクセスポイントを介して接続しデータ通信を行う方式をインフラストラクチャモードと呼びます。アドホックモードを使うためには接続用ユーティリティで通信モードを切り替えるほか、双方のクライアントの無線チャンネルを合わせておくことで通信ができるようになります。

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