あまった青春18切符を活用して日帰りの小旅行をしてみてはいかがでしょうか。今回は子供を連れて首都圏から碓氷峠方面へ行ったときのコースをご紹介します。(2005年8月1日の情報です)
コース概要
青春18きっぷの活用が目的なので、JR線のオンパレードです。往路は高崎線でスイスイと高崎駅まで行って、復路は八高線で帰ってきました。
新宿駅(8:08)湘南新宿ライン高崎行き→高崎駅(10:01着)(10:20発)信越線各駅停車→横川駅(10:54着)→徒歩→碓氷峠鉄道文化村→ぶんかむら駅(11:00発)トロッコ列車→とうげのゆ駅(11:20着)→徒歩→峠の湯→徒歩→とうげのゆ駅(13:30発)→トロッコ列車→ぶんかむら駅(13:50着)→碓氷峠鉄道文化村散策→横川駅(16:23発)信越線各駅停車→高崎駅(16:54着)(16:58発)八高線各駅停車→高麗川駅(18:21着)(18:23発)八高線各駅停車→八王子駅(19:07着)
湘南新宿ライン
出発は新宿駅です。埼京線のホームから湘南新宿ラインは出発します。小田原駅から高崎駅まで直通で行ってしまう電車ができたのですから驚きます。埼京線のホームはほかのホームと比べると少しずれているため、真ん中の通路を通って埼京線のホームに行ったつもりでも、埼京線のホームでは一番前よりに出てきたりします。そんなことで、前から2両目の車両に乗りました。埼京線の編成が短いため電車が止まらない場所ですが、湘南新宿ラインの乗ろうとしていた電車は15両編成だったので、その位置でも停車します。しかし、乗ってから気が付いたのですが、その車両を含む前から5両の車両は途中の籠原という駅で切り離されてしまうので、籠原までのどこかの駅で後ろの10両に乗り移らなければいけませんでした。
乗った列車は小田原駅から来た電車でしたが、新宿駅ではずいぶんたくさんの人が降りました。そのまま列車に乗るとかろうじて座ることができましたが、しばらくは立っている人もかなりいる状況でした。そして、池袋、赤羽、大宮と進むうちにどんどん人がおりていって、大宮をすぎたあたりではかなり空席が目立ってくるようになりました。人が少なくなると、冷房がどんどん効くようになってきて相当寒かったです。
信越線(高崎~横川)
籠原の手前にある熊谷という駅で後ろの10両に乗り移り、そしてそのまま高崎駅に向かいました。高崎駅では20分程度の待ち合わせで信越線に乗換です。キオスクで食料を買い込んだあとに、信越線に乗って横川の駅へと向かいました。信越線は3両編成で高崎駅を出たときには席がほとんど埋まっている状態でしたが、横川が近づくにつれて人が降りていってしまい、横川の駅に付いたときには数組のお客さんしか乗っていませんでした。
碓氷峠の部分が廃止される前であれば、軽井沢などに向かうお客さんが列車にはたくさん乗っていたと思うのですが、もう盲腸線と同じように横川に用がある人しか乗っていないように見えました。横川駅からはバスで軽井沢方面に抜けられるようでしたが、軽井沢に用事がある人は長野新幹線を使ってしまう人の方が多いのでしょう。
横川駅到着
横川駅を降りるとそこは峠の釜めしのオンパレードでしたが、おなかはそんなにすいていないので、まずは鉄道文化村に急ぎます。歩いて数分ですぐに入場ゲートにつきます。なにやらトロッコ列車の「シェルパくん」が11時に発車するというので、写真などは撮っている暇もなく、入園券を購入しました。トロッコ列車の往復乗車券と入園券のセットが大人は1300円、子供は700円でした。
せかされていたので、あまりどんな切符があるのかを確認できなかったのですが、家に帰ってからパンフレットを見てみると、さらに「峠の湯」の入館券までもがセットになったものが割引料金で売られていました。こちらを購入しておけば良かったです。こちらは、大人1700円、子供1000円です。
トロッコ列車の駅は入園ゲートから入ってすぐのところにあります。そこから列車に乗り込みました。トロッコ列車は一番後ろに峠のシェルパがついていて、前に2両の客車がついています。乗車定員は110名で先頭車両はオープンデッキ型展望スペース付き、二両目は木調仕様、エアコン完備の客車でした。
行きも帰りもトロッコ列車はオープンデッキのある車両に乗りました。トロッコ列車は走り始めると客車内を気持ちがよい風が吹き抜けます。オープンデッキの客車がトロッコ列車らしくておすすめです。
丸山変電所
トロッコ列車は「ぶんかむら駅」を出発すると最初に「まるやま駅」に止まります。この駅は丸山変電所のすぐ横に作られた駅です。この変電所は峠を行き来する列車へ電力を供給するために明治44年に建てられました。レンガ造りの建物で変流機・変圧器の収容棟と蓄電地室棟の2つに分かれています。国の重要文化財にも指定されています。昔、信越本線の車窓から見えた丸山変電所はもう見る影もなくボロボロになっていたと思うのですが、修復工事が行われたためか、とてもきれいになっていました。まるやま駅ではトロッコ列車は5分間程度停車します。思い思いに記念撮影を楽しむことができます。
まるやま駅を出ると今度は「とうげのゆ」駅に付きます。
鉄道廃墟
まるやま駅に停車中のトロッコ列車です。
峠の湯
トロッコ列車は「とうげのゆ」駅まで無事に着きました。かなりゆっくりとしたスピードでしたが、それでも歩くよりはずっと早いようです。ここからすぐにトロッコ列車で、ぶんかむら駅方面へ下る人も、一回、列車から降りなければいけません。
そのまま私たちは峠の湯へと向かいました。峠の湯はどこにでもある温泉入浴施設ですが、入場料が3時間で500円と安いのが魅力です。しかも、やすいところはたいてい、お風呂から一回出てしまって、館内のレストランなどへ行ってしまうと、またお風呂に入るときにお金を払わなければいけないところが多いと思うのですが、ここは3時間以内であれば何度でも出入り自由です。
夏休みとは言っても、月曜日の午前中ということで館内はかなりすいていましたが、午後からはお客さんが増えてきました。
お風呂は2階にあるのですが、2階にあがる館内の洒落た螺旋階段からトロッコ列車の全景が見えたので、写真を撮っておきました。
峠の湯の浴槽はそんなに種類が多くありません。室内には大きな温泉の浴槽と水風呂、そしてサウナ、外には大きな露天風呂、これだけです。そんなに広くもありません。でも、ここのサウナはとても気持ちが良かったです。結構、サウナに入る機会が多いのですが、ここのサウナは入ってから3分もしないうちに汗らしい汗が出てきました。サウナに入る機会が多いため、水のような汗をかくことが多くなってきたのですが、ここはちょっと粘りけがあるような汗らしい汗です。たぶん、サウナの中にずっと人がいなかったので、湿度が低かったのではないかと推測しています。温度は上の段で90度くらいでした。テレビなどの設備はありません。あるのは温度計と12分計だけです。
温泉のほうナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉で循環濾過式かつ加温をしています。濾過をしているためか温泉らしさはあまりないのですが、肌あたりの良いお湯でした。
廃線
峠の湯の外へ出てトロッコ列車の駅の方に歩いていきました。まだ列車が来るには少しの時間があります。そこで駅のちょっと向こう側にこんもりとした芝生の丘があったので、そこにあがってみました。すると、その丘の向こう側には柵もなく旧信越線の線路がありました。ここより下には線路上に柵があるので、この地点には列車が線路上を走ることは無いようです。そこで、線路の上に上がってみました。こうして線路の上を歩くのは凄く久しぶりのような気がします。上を見ると、さすがに難所といわれた碓氷峠です。電車にとっては非常にきついであろう勾配がずっと続いていました。
碓氷峠鉄道文化村
「とうげのゆ駅」からトロッコ列車にのって「ぶんかむら駅」まで戻ってきました。碓氷峠鉄道文化むらは、以前、横川駅近くにあった鉄道施設をそのまま活用して、展示しているようです。下の写真も電気機関車の格納庫をそのまま残してあるのでしょう。メインゲートから入るとすぐにこの建物が見えますが、さらにこの奥には一段高くなった広場があって、いろいろな車両が展示されているほか、ミニSLのあぷとくんなどが走っています。
鉄道文化村の園内にはお座敷列車が2両置いてあります。この2両はお座敷列車を展示するという目的もありますが、休憩所としての性格も兼ね備えています。2両ともクーラーが結構効いていて涼しいのですが、車内で休んでいる人はだれもいませんでした。車内は畳敷きになっていて、なかなかくつろげるのですが、ちょっと勿体ないなと思いました。外からこの客車を見てみると、ふつうの冷房装置の室外機が裏側にあって、そこにダクトで冷房装置がつながっていました。客車にもともとから付いている冷房が動いているわけではなくて、あとから外付けで冷房をつけたようでした。
展示車両
奥のスペースで展示されている車両の一部を携帯電話のカメラで撮ったのが掲載しておきます。
ジオラマ運転
HOゲージで作成された比較的大きなジオラマがあります。レールの総延長は約90メートル、15両編成の列車にも対応しています。パワー&サウンドユニットにはTOMIX社製のN-S2-CLという製品を使用しているそうです。1時間に一回程度の割合で運転される仕組みになっていて、それ以外の時間でも、お金を入れればどれか一編成を運転することができるようになっていました。青梅鉄道公園にあったジオラマと同じイメージです。しかし、こちらのジオラマは全自動運転のようです。時間になったら無言で係員が現れて何かを操作すると、あとは照明や音声、そして列車がすべて連動して動くようになっていました。また、モニター画面には運転されている列車のクローズアップ画像や碓氷峠のビデオ映像などがジオラマの運転にあわせて投影されていました。うまくできていると思いました。ジオラマ運転は20分間程度でした。
また、パンフレットには車両持ち込み使用というものが紹介されていました。2時間で2500円です。HOゲージ用走行レール、パワーパック1台、そしてサウンドコントローラー1台が含まれています。走行開始時と終了時に線路の清掃が利用の条件になるとパンフレットに記入してありました。
EF63型機関車 運転体験コース
本物のEF63型電気機関車を運転体験することができます。まず、学科講習を予約して受講した後に、後日、本物のEF63型機関車のレバーを手にして同乗する乗務員の指導に従い、往復で約30分間の運転を体験できます。学科講習は3万円、実技講習は5000円からという料金体系になっています。運転実技は走行回数に応じて、機関士見習・補助機関士・本務機関士の資格認定があります。この体験コースは旧信越本線の上を以前は300メートル運転できましたが、これが今では100メートル延長されて、400メートルとなりました。今回の訪問の中ではさすがに体験することはできませんでしたが、いずれはトライしてみたいと思います。
峠の釜めし
横川駅の周りには「おぎのや」がいっぱいありますが、今回は横川駅の構内売店に行きました。構内売店とは言っても駅の中からでも外からでも買うことができる便利な構造になっています。ちょっと離れたところには、「おぎのや」の資料館もありました。そんなに広いところではありませんが、釜飯に対する思いを感じることができる施設でした。店の人の話によると、今日はとてもすいているけれども、土曜日はたいへんに混んでいたそうです。というのも、SL碓氷峠号が高崎駅から横川駅まで来たそうで、これに乗ってきたお客さんがどっと碓氷峠鉄道文化村に押し寄せたそうです。同じ蒸気機関車が来週からは水上方面へ行くようです。こちらもたいへんなことになるのでしょうか。
峠の釜飯です。鉄道文化村でさんざん子供たちにつきあったあげくに、やっと「釜めし」にありつけました。横川に通りかかったときにはいつもは釜めし屋さんでお土産に買って帰るのですが、今日は横川駅の構内売店の前にあるテーブルで食べました。この売店、釜めししか無いのかと思いきや、実は「そば」と「うどん」も扱っています。かけそばは300円、たまごかけうどんが350円という感じの値段でした。「釜めし」はどこで買っても同じ価格の900円です。
やっぱり峠の釜めしはおいしいですね。癖のない味で、どんどん食べることができます。上の子は一緒に釜飯を食べて、下の子供は、うどんを食べました。ゆっくりと食べていると、列車が入線してきたので、急いで食べ終えた後に、列車に乗り込みました。列車はガラガラでした。
八高線
帰りは横川駅から高崎へ出た後に、すぐに八高線の列車が発車することが判ったので、八高線ホームまで走りました。高崎駅の八高線ホームはわかりにくいところにあるので、行くのが結構たいへんでした。最初は行きと同じ路線で帰ろうと思っていたのですが携帯電話の乗換案内で調べてみると、八高線経由で家まで帰ってもそんなに帰る時間は変わらないことが判りました。八高線で帰ると、電車の連絡が良くて次々に乗換ができるためでもあるのですが、高崎線を使った方がどう考えても早いような気がするので不思議です。今日は夏休みとはいえ平日なので、上野駅や新宿駅に行けば混んでいるのは明白です。そこで、八王子駅に行けば乗換もスムーズでそんなに駅は混んでいないだろうという計算もありました。
八高線は高崎駅から高麗川駅までは電化されていないのでディーゼル列車が走っています。そして高麗川駅では川越線方面から来た八王子行きの電車に乗り換えます。以前は高崎発八王子行きのディーゼル列車が走っていたのですが、今は高麗川駅で乗り換えないといけないようになってしまいました。全線を通して乗る人は少ないとは思うのですが、やはり少し不便になってしまった感じがします。
おわりに
往復で5000円弱の旅程です。電車好きな子供たちにとっては大喜びのミニ旅行でした。青春18きっぷは1枚あたり2000円程度なので、やはり青春18きっぷの安さが際だちます。現地である程度遊ぶ時間を確保し、かつ青春18きっぷのお得さを出すためには、この程度のスケジュールになるのかなという感じがします。青春18きっぷは普通列車しか乗ることができませんが、うまく快速などの速い列車を選択すれば快適なミニ旅行が楽しめるかと思います。
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