新聞の特殊指定見直しで苦境の色が鮮明になる業界

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 公正取引委員会が新聞の特殊指定を見直す方向で動いていますが、新聞社各社は猛反発をしています。

 特殊指定とは、地域別、相手別に異なる定価をつけたり割り引いたりすることを禁止する制度です。もしもこの特殊指定を外すと過度の価格競争を招いて、宅配制度を存続できなくなるというのが新聞社側の主張です。

 結局、新聞各社の利益確保が主張の根拠になっているような気がしてなりません。

 しかし新聞各社は、今までNTTの独占批判や政府の事業見直しなどを先頭をきって報じてきただけに、自分たちの利益確保を主張するのは、どうも説得感がありません。

 当時もNTTは日本全国へのユニバーサルサービスが存続できなくなるなどと主張していましたが、現在、色々な電話会社が参入してもユニバーサルサービスはきちんと提供され続けています。また、電話代は非常に安くなりました。消費者にとっては大きなメリットがありました。

 やはり、新聞各社も競争下において、新聞各社の原価低減を促す必要があると思います。また、これだけ光ファイバーなどのネットワークが整備されてきたのを受けて、個別宅配にかわる新しい仕組みを構築していく必要もあるでしょう。

 今日は官房長官が新聞各社を擁護する発言をしたようですが、私は公正取引委員会の主張のとおりに特殊指定は見直す方向が一番良いと思います。

【2024年8月20日追記】

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その後の新聞特殊指定見直しの状況

 2005年から2006年にかけて新聞の特殊指定に関して抜本的な見直し論議が行われていましたが、結局は自民党など各政党が見直しに反対姿勢を示したことで公正取引委員会は結論を出すことを見合わせてしまいました。

 日本新聞協会の「新聞の発行部数と世帯数の推移」によれば、下記のように発行部数は下がるばかりです。

  • 2015年 44,246,688
  • 2016年 43,276,147
  • 2017年 42,128,189
  • 2018年 39,901,576
  • 2019年 37,811,248
  • 2020年 35,091,944
  • 2021年 33,027,135
  • 2022年 30,846,631
  • 2023年 28,590,486

 2015年から2023年の間に約1500万部も減少していることに改めて驚きました。

 過去、牛乳も各家庭に個配されていましたが、昭和40年代から昭和50年代に紙製の1リットル容器が出来て、スーパーマーケットで牛乳を買うことが一般的になってからは急速に牛乳の個配はなくなってしまいました。

 新聞もインターネットがここまで普及した今、このまま存続することは非常に厳しい状況になっていると思います。特殊指定見直しをするかどうかという議論があまり盛んになっていないのも、もはや新聞をとる家庭が少なくなってきていて議論することにあまり意味がなくなってきたからなのではないかと思います。

コメント

  1. かば より:

    初めまして。
     私もまったく同感です。
     現在“配達料”について調べてみたいと思っているところですが、現時点ですでに“再販制度”“特別指定”は崩れている気がします。