付加価値を付けることが難しくなったデジタル家電の値崩れ

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SHARP-TV

 テレビを観ているとデジタル家電の値崩れに対する危機に関する特集をしていました。亀山工場で有名なシャープのAQUOSでさえ、売れ筋の37インチのテレビが信じられないほどの値下げを強いられているそうです。

 デジタル家電の値段が安くなっている最大の原因は大手ブランド以外のメーカーのテレビが激安でデジタル家電を販売していることによります。たとえば、バイデザインのような会社でしょうか。

 特にデジタル家電では全世界から良質で安い部品を買い集めてきて組み合わせていけば、薄型テレビなどを作って販売することができると言います。テレビでは実際に大手家電メーカー以外のテレビを分解して、中に入っている部品を取り出して、どこの会社の部品かを確認していました。また、画質や音質なども値段差ほどの差は感じないとはっきり言っていました。とすれば、国内の大手家電メーカーから見れば、バイデザインのような会社は非常に大きな脅威なのだと思います。

 以前のアナログテレビの時代では、各大手家電メーカーが持っている独自技術、たとえばソニーであればトリニトロンの技術などが、その会社を支えていました。別の会社ではなかなか真似ができません。アナログ時代には自社で新しい技術を開発してその会社を支えていくことができたことになりますが、現在のデジタルテレビはそんな技術の蓄積が難しくなってきてしまったようです。従って、総合電気メーカーが日本では生き残りにくくなってきていると言うのです。

 コンピューターに関してもすでに同じ傾向が現れていて、安価に部品を集めてきて組み立てることによるコスト低減が大きく原価に影響する形になってきています。PC-AT互換機を開発したIBMですら、一般消費者用のパソコン、たとえばノートパソコンであればTHINKPADの事業を中国のパソコン会社であるレノボに売却してしまいました。それだけ、大手の企業ではデジタル商品で採算を取ることが難しいことを物語っていると思います。

 新しいソニーのBRAVIAではヤフーなどとも提携して、テレビのインターネットブラウザで各種の情報を引き出すことができるような工夫をしました。ちょっと値段が高いので、どこまでこのテレビが売れるかは判りませんが、なかなかおもしろいアイディアだと思います。同じデジタル家電を売るにも、このような付加価値を付けて差別化していかないと、売り上げを伸ばしていくことは難しいのかもしれません。

 DVDレコーダーの分野では色々な番組を録画していくうちにドンドンと賢くなっていくコクーンというDVDレコーダーがソニーから発売されました。これも素晴らしいアイディアだったと思います。キーワードを設定して、そのキーワードが含まれる番組が放送されたら自動的に録画されたり、実際にDVDレコーダーを使っている人がドラマをたくさん録画して見ているような傾向があるならば、録画予約をしていないドラマも自動的に録画しておいてくれる機能があります。

 今でこそ、コクーンは発売されていませんが、ソニーが発売している廉価なDVDレコーダーにもこの機能は「おまかせまる録」という名前で搭載されるようになりました。これは他のメーカーが販売しているDVDレコーダーと比べても大きなアドバンテージだと思います。私の持っているソニーのスゴ録、RDR-HX65にもこの機能は付いていますが、実に便利な機能です。

 これからもこんな付加価値を通して、日本のメーカーにはデジタル家電分野でも世界をリードしていって欲しいと思います。

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