■MovableTypeとWordPress
最近、欧米などを中心にしてMovableTypeよりもWordPressの方が人気が出てきているという情報を方々で見るようになってきました。
やはり、WordPressはオープンソースとして取り扱われていて、商用利用でも無償で使用できること、ソースやインタフェースが公開されているので、いろいろな人がプラグインの開発などを通して開発に参加できることが人気の原因でしょうか。
一方でMovabletypeはもともと企業が作った製品なので、使用するためには対価を支払わなければいけません。ただし、個人が一定の条件のもとで使用する場合のみ無償で使用することができるというライセンスになっています。
一見、WordPressの方が柔軟性に優れている印象もありますが、日本では今のところはまだMovableTypeを使用しているサイトのほうが断然に多いような気がします。まだ、今まではWordPressの情報を扱った日本語のサイトが圧倒的に少なかったためだと思います。しかし、最近になってWordPressを使用した日本語のサイトの数も非常に増えてきています。日本人にとっても各種の情報が増えてくればもっと普及に弾みがつくのではないかと思います。
■MovableTypeのオープンソース版
そんなWordPressの動向に着目して、MovableTypeを開発しているSIXAPART社でも対策を考えています。それはオープンソースライセンス版が発売されることです。SIXAPART社は商用版のMovableTypeとオープンソース版のMovableTypeとはまったく別のものと取り扱っていくことを表明しています。
オープンソース版のMovableTypeが提供され始めたら、SIXAPART社はどうなるのかというと、商用版の開発は従来どおり開発を続けるのと共に、オープンソース版の方のサポートも有料で実施するサービスを展開するのでないかと思います。
■MovableType4Ja
そして、SIXAPART社がもうひとつ実施した大きな対策は、メジャーバージョンアップです。従来はMovableTypeのバージョンは3.xでしたが、今回は4になりました。今回のバージョンアップではできるだけ従来のMovableTypeとの互換性を残しつつもWordPressに対抗できるだけの豊富な機能を盛り込むことを主眼に機能追加が行われているように思います。
■アップグレード
先日の土曜日、従来使用してきたMovableType3.4からMovableType4.0に乗換えをしました。従来のMovableTypeはmt-config.cgiをエディタで開いてテキストで設定値を直すといった、少し玄人チックなインストール作業が必要でしたが、今回のバージョンアップでは作業が非常に簡単になりました。基本的にはインストールしたあとに出てくるウイザードに従っていくだけでインストールは完了します。
アップグレードは思いのほか簡単にできましたが、管理画面のインタフェースについては非常に判りやすくなっていて、従来のインタフェースに慣れていると扱うのに戸惑ってしまうくらい違います。
■プラグインの互換性
私が使っていたプラグインの中でうまく動作しなくて困っているのは、TagSupplementalsプラグインです。このプラグインはMovabletype3.3から標準的に使えるようになったタグをさらに便利に使うためのプラグインで、たとえばその記事につけられているタグを頼りに過去に投稿した記事の中から似たような記事を引っ張り出してきて表示する機能などがあります。この程度の機能はMT4で実装してくれたら良かったのですが、残念ながらMT4でこのようなタグの拡張は無かったようです。最近投稿したエントリーにはこのような事情で関連記事の一覧が表示されていません。
■ダッシュボード
また、扱いやすくなった点も数多くあります。たとえば、テンプレートを編集しているとき、従来のエディタはごく単純なテキストエディタだったのですが、今度のエディタはタグの始まりや終わりをきちんとマークしてくれて、非常にコーディングをしやすくなっています。これならば文法のエラーなどで悩むことは少なくなると思います。
■記事作成のエディタ機能
ブログの記事を作成するためのエディタが従来よりも格段に機能アップしました。いわゆる、WYSIWYGエディタになっていて、公開されるときの状態をほぼ再現しながら記事の編集をすることができます。従来は写真を貼り付けるときにも、HTMLタグを操りながら写真が表示されるときの位置や写真の大きさを調整していましたが、今度はそのイメージを確認しながら編集することができるので格段に操作性は向上しています。しかし、高機能になった分、編集画面がもっさりとしてしまっている分については仕方がないとあきらめるしかなさそうです。
文章主体の記事を書くときには以前のテキストモードのエディタ機能で編集をして、いろいろなイメージファイルなどを駆使して記事を作成するときにはWYSIWYG画面を使用するといった工夫をすると良いと思います。
■ブログ以外のページの作成・管理
さらに、ブログの記事とは別に一般のホームページに相当するページを作成することができます。ブログの記事は日付順に並んでいきますが、どちらかというと静的なページという扱いになります。
たとえば、企業のホームページとブログを組み合わせたサイトを作成したいときには従来であればホームページ作成ソフトで静的なページを作成して、ここからリンクしてブログツールでブログのページを作成するといった作業が必要でしたが、今度はMovabletypeだけで両方のページを作成・管理できるようになります。
実はこの機能は目新しいものではなくて、既にWordPressでは実装されていますので、MovableTypeは追いついた格好になりますが、それでも便利な機能が実装されることは歓迎します。
■アップロードしたファイルの管理
ブログを作成するときには通常は文章だけではなく写真などのコンテンツもあわせてアップロードをします。従来のバージョンでは写真などのファイルをサーバーにアップロードして、ブログに貼り付けるためのhtmlを表示するまでの支援機能はあったのですが、いったん、アップロードした後はFTPソフトなど、ほかのツールを組み合わせて管理をしなければいけませんでした。
今度のバージョンではMovabletypeを使ってアップロードしたファイルについては覚えてくれているようで、一覧表を出すことができます。ここで簡単なファイル音管理ができるようになっています。
また、従来は写真などのコンテンツを扱うことは簡単にできたものの、動画などのコンテンツに関しては扱うことは難しい状況でした。今度のバージョンでは動画や音楽ファイルなどのコンテンツを扱うためのテンプレートファイルも提供されているため、簡単にこれらの情報発信を行うこともできるようになりました。
■MovableTypeの今後
かなり使い勝手は良くなったと思うのですが、もっさり感については少々困惑してしまいます。このブログもかなり記事の量が増えてきたので、そろそろ別のブログを始めたほうが良いのかもしれませんが、もう少し動作が以前のバージョン並みに早くなってほしいと願っているところです。
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