アマゾンに代表されるようなネット通販会社は多品種のものを取り扱っても、お客さんに見てもらうための物理的な展示スペースが必要ないため、実店舗と比較して有利とよく言われます。
そして、パレートの法則に代表されるように実店舗では、非常によく売れるであろう商品にまとを絞る、またはあるコンセプトに沿った商品にまとを絞るなどして、その物理的な制約の中で出来るだけ大きな売り上げが確保できるように努力してきました。
一方でネット通販では、物理的な制約を受けにくいという利点を活用して、色々なものを消費者に提供することができます。そして、あまり売れないような商品ですら、ホームページに掲載しておくことができます。これらの商品は一部のよく売れる商品と比較すれば、売り上げはかなり落ちることになりますが、それでも少しずつは売れることになり、ネット通販会社には一定の貢献をすることになります。
縦軸に売り上げ、横軸の左が売れる商品、右の方に売れない商品をプロットしていってグラフを作成すると、左上から右下に向かってダラッと下がり続ける曲線になりますが、いわゆるロングテールと言われる売り上げの傾向となります。
ロングテールといわれる傾向はあくまでもネット上の仮想店舗だけで存在しうる現象なのだと思い込んでいたのですが、おもしろい記事がありました。東急ハンズは既に30年前から実店舗でロングテールを実現していたという記事です。
☆ハンズは30年前から「ロングテール」だった!
この記事を書いた方は今年3月までの16年間、東急ハンズで勤務されていたというので、かなり説得力もありますし、また、私もずっと東急ハンズを利用し続けてもいるので、納得感のある記事だと思います。
私が最初に東急ハンズに出会ったのは、渋谷のハンズだったと思います。互い違いになったフロアーの構造は独創的でしたし、息切れしないですぐに次のフロアーに行くことができるのは、とてもよく出来た設計だと思います。
当時はオーディオ関係の商品などを色々見ていたと思います。ハンズは値段が安いわけではないのですが、ここに行けば、まず間違えなく自分がほしいものが手に入るような気がするお店でした。普通の電気屋では完成品のオーディオ機器が並べられていますが、ここには自分で作ることができるスピーカーなども展示されていたと思います。色々な面で、こんな製品があるのかとか、ぜひこれは欲しいとか本当に物欲を刺激してくれるお店でした。
その後、渋谷店が出来た時期よりもあとだったと思うのですが、町田にも東急ハンズの店舗ができました。まだ、JRの町田駅が原町田駅と呼ばれていた時期だと思います。当時、小田急線を使って通学していたので、よく、この東急ハンズの町田店には足を運びました。また、この町田店は非常に大きいように感じました。実際のところはよく判りませんが、渋谷店よりも町田店のほうが相当大きかったのではないかと思います。また、品揃えも多かったような感じがします。学生のころは特に物欲があったので、東急ハンズは非常に楽しいお店でした。
社会人になってからは、渋谷や町田といった街に行くことも少なくなってしまったこと、学生時代のように時間のゆとりが少なくなってしまったので、広い店内をのんびりと見てまわるような時間的贅沢が出来なくなってしまったことから、東急ハンズからは足が遠のいていました。ときどき、池袋のサンシャインシティに用事があるときに、池袋店には寄っていた程度だと思います。その後、ネットで通販が盛んに行われるようになると、珍しいものはネット通販で買うようになってしまいました。
確かにこの記事を読んで気がついたのですが、東急ハンズはロングテール効果を実店舗でねらっていたのだと思います。今考えれば、スゴイ試みだったと思います。
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