日立グローバルストレージテクノロジー(HGST)は小型ハードディスクの製造事業から撤退することを決めたと日経新聞で報道されました。来年の夏に製品の出荷を停止するようです。
すでに1インチのHDDについては製造を中止して、1.8インチのHDDでさえ来年の夏を目処に製造を停止します。
1インチのハードディスクは下記のような形で今のところはまだ在庫分の商品が流通しているようですが、在庫分がなくなると市場から商品がなくなるのではないでしょうか。
この商品は4GBの容量を持つ商品ですが値段が1万5000円弱で売られています。以前は、数GBの大容量をこのサイズで手に入れるためには、小型ハードディスクを使用するしか選択肢がありませんでした。数GBの容量を持つポータブルプレーヤーではこの1インチHDDを採用した商品が数多くありました。
しかし、今となってはフラッシュメモリカードの値段が驚くほど安くなっています。メモリカードの値段が安くなれば、アクセス速度や価格、サイズなどのどの面をとっても小型HDDの方が不利になってしまいますので、製造中止に追い込まれても致し方ないところがあります。
本当は1インチHDDでも数十GBの容量を持つ商品が発売されれば何とか生き残りの道があったかもしれませんが、そこまで開発費をかけて作ったとしても、メモリカードの大容量化はかなりの急ピッチで進んでいるので、小型ハードディスクの開発費を回収できないうちに陳腐化してしまう可能性もあります。この辺から総合的に判断して、小型ハードディスクにこれ以上の投資を続けることはやめることにしたのでしょう。
日立では2002年の12月31日をもってIBMのハードディスク製造部門を買収しました。当時からIBMではハードディスク製造部門の業績はふるわず、赤字部門でした。(“戦略的に”赤字部門をIBMから買収する日立 – ニュース – nikkei BPnet)
日立は今後はハードディスクの需要が急増するであろうことから、あえてこの赤字部門を買い取り、日立がハードディスク製造部門の世界トップシェアを握ることができるよう今まで投資を続けてきました。
しかし、現時点でも赤字は続いてしまっていて、日立にとっても相当の荷物になってしまっているようです。数週間前の日経新聞でも日立はアメリカのファンドにハードディスク部門を売却する方向で調整に入ったことを報じていました。
今回の小型ハードディスクの製造停止をはじめとして、徐々に日立製作所では事業の再編に向けた準備を進めていくのではないでしょうか。
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