米国DVD市場で2割のシェアを持つワーナーブラザーズがHD-DVD陣営から離脱

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 今朝の日経新聞を見ていると家電見本市のCESが開幕したことを告げる記事が載っていました。その記事の下の方を見ていくと、「米ワーナー、ブルーレイ単独支持」という見出しがあります。

 記事の中身を読んでみると、当初はHD-DVDブルーレイディスクの両方を支持していたワーナーブラザーズがブルーレイディスクの単独支持に方針を変えたのだそうです。ワーナーブラザーズがこの6月から発売する次世代DVDソフトはブルーレイディスク(BD)に統一するということなので、HD-DVDの普及に与える影響はとても大きいです。

 特にワーナーブラザーズはアメリカのDVD市場で二割前後のシェアを持っているということなので、その規模は計り知れないものがあります。

 BDの陣営にいる映画会社のDVDソフトに関する販売シェアは、ワーナーのほかソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ウォルト・ディズニー、20世紀フォックスなどをあわせて70%弱になります。

 一方で、今回のワーナーの離脱をうけて、HD―DVDを単独支持するパラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズの合計シェア20%強になってしまいました。。昔のレーザーディスクとVHDの競争を見ているような感じです。


 もともと、ワーナーはなぜHD-DVDを選択したのかが気になったので調べてみると、下記の記事がありました。2005年4月13日の記事です。今から3年弱前の記事ということになります。

 ★ITmedia ライフスタイル:「われわれは2年待った」――ワーナーがHD DVDを選んだ理由 (1/5)

 この中で、ワーナーブラザーズは二年間ずっと両方式を研究してきた末にHD-DVDを選択したと書かれています。第一の理由は下記の理由だそうです。

 「まず、大成功を収めているDVDプラットフォームの上に作った規格という点。0.6ミリカバー層のディスクは、耐久性や信頼性が高いことが既に証明されています。また、製造性~つまりディスクの作りやすさの面でもHD DVDの方が優れているでしょう。BDとHD DVDは、ほとんどの要素において共通あるいは互角です。しかしHD DVDは、未来の技術など使わなくとも、今すぐに安価に入手できる技術です。しかも、製造する側から見ても作りやすく高品質、高耐久性を実現できます」。

 当時は優位と見ていたこのゆな技術についても、今ではブルーレイディスクの技術開発が進んで、互角になってきたということなのでしょうか。
 中日新聞によれば、今回の発表に際して、ワーナーブラザーズは下記のコメントを発表しています。

 「2つの規格の併存は消費者の混乱を招く。消費者はブルーレイを選択している」

 最近の次世代DVDソフトの売り上げを見ると、ブルーレイディスクの方が売れていることもあり、もはや、HD-DVDのソフトも作り続けることのメリットが見いだせなくなったのでしょう。東芝は廉価なHD-DVDプレーヤーの発売など、盛り返しに躍起になっていましたが、今ひとつ効果が出ていないようです。

 今後、HD-DVDはパソコンで次世代DVDを視聴する層の取り囲みに動くようです。あまり身の回りで、DVDをパソコンで見ている人って少ないよな?とも思ったのですが、意外なことにアメリカにはこのようなスタイルでDVDを楽しんでいる人が多いのだそうです。2008年にはHD-DVDを搭載したパソコンを全世界で500万台販売することを目標にしています。

 対応ドライブと書き込みが出来るHD-DVDメディアの値段が安くなれば、パソコン用途に普及する可能性も否定できません。しかし、この年始の売り出しを見ていても、ブルーレイディスクメディアの安売りは1枚500円弱の値段で売られていたのを見ましたが、HD-DVDについては売り出しの対象になっていなかったところを見ると、やはり厳しい実情が伺えます。

 今年はHD-DVD陣営に残るパラマウントとユニバーサルの動向によって、すぐにでも次世代DVDの規格競争に決着が付くのではないでしょうか。

【2012/10/27追記】

 その後、HD-DVD規格の商品は発売されなくなり、次世代DVDはブルーレイディスクに統一される形になりました。

 ☆東芝がHD-DVDから撤退するかもしれない
 ☆HD-DVD陣営が解散
 ☆東芝がブルーレイディスク陣営へ

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