株式の大量保有報告書

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東証

 先週金曜日の夜は「大量保有報告書」という言葉がニュースを飛び交いました。この大量保有報告書というのをときどき聞く機会があるのですが正確にどういうものなのかが判りません。

 さっそく調べてみると、株式会社が発行している全株式数のうち保有割合が5%を超えている場合に、大量保有開示制度に基づいて金融庁に提出する書類のことだそうです。

 この大量保有開示制度に基づいて、金曜日の東証株式取引終了後、午後16時12分に開示された情報の中で、ソニー、トヨタ、NTT、三菱重工業、アステラス製薬、フジテレビジョンの6銘柄について51%の株式を取得したというものがあり騒ぎになりました。

 この大量保有報告書の提出者は、テラメント(川崎市)となっています。こんなに大量な株式を一企業が購入するのは困難なことであると思われる(今回は20兆円もの資金が必要)ことから、虚偽の報告ではないかと金融庁による調査が始まっています。


 今回の大量保有報告書はEDINETというシステムを通じて電子的に公開されました。大量保有報告書の電子化は昨年4月から実施されているようです。なぜ、このような疑わしい情報が開示されてしまったのでしょう。事前の審査があればすぐにはじかれるはずなので、サイトがハッキングされて脆弱性をつかれて申告書がアップロードされたのかと最初は思っていたのですが、ロイターの報道によれば実はそうではなさそうです。

 このEDINETのIDについては、金融庁に、個人であれば住民票、法人なら定款を提出すれば、登録のためのIDとパスワードが付与される。このIDとパスワードが払い出されれば、この個人または法人が入力されたデータは即座に公開されてしまうとのことです。従って、途中で報告書を事前チェックする仕組みがありません。これは非常に怖いことだと思います。

 今回の場合はあまりにも大きかったので、すぐにおかしいのではないかということになりましたが、もしもあり得る程度の量の報告書であれば株式市場が大混乱していた可能性もあります。

 虚偽記載された大量保有報告書を提出した場合には、5年以下の懲役か500万円以下の罰金の刑事罰が課されることになっているようです。しかし、この刑事罰だけでは虚偽の報告を防ぐ仕組みとしては不十分だと思います。この大量保有報告書の公開方法については、何らかの事前審査をする等の運用の改善が必要なのではないでしょうか。

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