三鷹駅から井の頭公園の方向に向かって流れる玉川上水沿いは「風の散歩道」と名付けられて、とても気持ちの良い散歩が出来るように整備されています。
この玉川上水沿いは武蔵野の自然がそのまま残されていて、桜の花も綺麗に咲いていました。特に「むらさき橋」から中央線の線路に向かって桜のアーチのようになっているのですが、ここの桜は絶景だと思います。
この「風の散歩道」を歩いていったところ、万助橋が近くなってきたところに、「山本有三記念館」という建物があります。
玉川上水の方から見ると下の写真のような建物です。
この建物は、作家の山本有三が昭和11年4月から昭和21年11月まで家族と一緒に住んでいた家が今も残されている建物です。建物自体は大正15年頃に建てられました。貿易会社の方がこちらに建物を建てたそうです。
実はこの辺は渡邊万助さんという方が持っていた土地なのですが、大正13年に南井之頭田園住宅として開発された土地です。近くの吉祥寺通りと玉川上水が交わる場所に万助橋として名前が残っています。
大正時代に作られた建物の特徴として、玄関が非常に小さいです。住まいがお客様を迎えるのではなく、家族のためにあることを示しているとテレビで紹介していました。玄関の上には日本少国民文庫のマークをあしらったレリーフが掲げられています。その横にはきれいなランプがあります。
スクラッチタイルと大谷石を上手に使って外壁が作られています。この建物よりも少し前にできた帝国ホテルでもスクラッチレンガが印象深く利用されていたのだそうです。
屋根は銅ぶきになっています。異なる建築様式を見事に1つにまとめた建築になっています。窓1つとってもいろいろなものが使われています。トイレのところは窓を三角形に出っ張らせて独特のデザインになっています。
この建物で山本有三は「路傍の石」を執筆したと言われています。また、戦中の本が乏しい時期には自宅内にミタカ少国民文庫を開設して蔵書を開放していました。
建物の中はそのまま土足のままで入ることができるようになっています。何だか、床がギシッといって、床が抜けそうな感じもしますが、そんなに柔な作りではないでしょう。
1階には原稿や著書、遺品などが展示されていて、山本有三の生涯をたどることができるようになっています。ビデオライブラリもあり、ボタンを押すだけで歴史的な映像を見ることができるような展示もありました。
そして2階は山本有三が書いた雑誌、作った雑誌などが展示されていて、文筆活動を振り返ることができるようになっています。また、2階の奥の部屋では山本有三の愛用した身の回り品、愛蔵の品などが展示されています。
外から見ると洋館なのですが、実は2階には和室もあります。寝ころぶと気持ちが良さそうですが、残念ながら入室することはできません。
建物の南側は広い庭(有三記念公園)が広がっています。この公園は少年、少女に心の糧を与え、育成しようとした故山元有三の意思を受け継ぎ、情操を高めるための公園として、昭和62年7月22日に開園されたと紹介されていました。
私がまだ小さかった頃、この山本有三記念館は都立教育研究所の三鷹分室「有三青少年文庫」として子ども向けの絵本などを読むことができたのですが、その頃もこの庭自体はあったような気がします。庭の方から出入りしていた記憶があります。
この公園の総面積は1305.20です。また、この有三記念公園の方角から建物を見ると下の写真のような形になります。
建物の南側は左右対称のような格好になっています。ベランダの三角形の模様も面白いです。この三角形は正三角形ではなく、少し丸みを帯びた三角形になっています。
普通ならば玄関側を左右対称に作って、この逆側は個性的に作る場合が多いのだそうですが、この山本有三の邸宅は逆になっています。
残念ですが誰が設計したのかが分からないそうです。この人ではないか?という目星はついてきているようなので、今後の研究の中で明らかになるかもしれません。
住所:三鷹市下連雀2-12-27
電話番号:0422-42-6233
開館時間:9時30分から16時30分まで
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日と翌々日を休館)、年末年始、ほかに展示替えなどのために臨時休館する場合もあり
● 三鷹駅(南口)から徒歩12分
交番(駅の吉祥寺寄り)の前から玉川上水沿いに続く「風の散歩道」沿いに、徒歩で12分。
● 吉祥寺駅から徒歩20分
● バス停 万助橋から徒歩5分
現時点は無料で入ることができるのですが、平成20年の5月からは有料化されるという話しもあるようです。(→三鷹市 山本有三記念館 – ~東京レトロ散歩~ – Yahoo!ブログ)
路傍の石も記念館の入り口前に展示されていました。この大きな石は、山本有三が「路傍の石」を執筆していた昭和12年に、中野にあった旧陸軍電信隊付近の道ばたで見つけ、自分で家の庭に運び込んだと言われています。とても一人で運べるようなものではありませんので、どうやって運んだのでしょうか。
【参考記事】
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