JRでは春休みや夏休みなどに青春18切符が発売されることが恒例になっています。この青春18きっぷはそのネーミングには関係なく何歳の人でも利用できる上に日本全国のJRの路線に乗ることができて値段もとても安いので便利な切符なのですが、もっとも大きな制約は特急列車や急行列車に乗ることができないという点です。そこで鈍行列車や快速列車などを乗り継ぎつつ、いろいろなところへと旅立つことになります。
しかし、鈍行列車ではどこに行くにも非常に時間がかかります。遠くへ行きたいときには途中で1泊しなければなりません。しかし、青春18きっぷを使って節約旅行をしているときに、宿を使って一泊したらそれなりの料金がかかってしまい、下手をすると特急列車を使って移動したほうが、早いし安かったということにもなりかねません。
夜行快速列車
そんなときに便利なのが夜行快速列車の存在です。夜行快速列車を使用すれば、宿代を節約できる上、起きたら目的地にすでに着いていて、朝早くから行動を開始することができるといった利点を発揮させることもできます。
ムーンライトながら
この夜行快速列車は「ムーンライトながら」が有名です。東京を夜出て、名古屋、大垣に早朝に着くことができます。また、そこで乗り換えてさらに西を目指せば、その日のうちに大阪や岡山、そして高松までもその日のうちに移動することができます。実は私も学生時代に、このムーンライトながら(当時は大垣夜行と呼んでいました)を使って、名古屋や明石、岡山で乗り換えて高松の友人の家まで行ったことがあります。寝台車はないので、それなりに眠りにくいですが、意外と熟睡できました。
このムーンライトながらには定期便のほかに多客時には臨時列車も運行される人気列車でしたが、現在では臨時列車の運転のみとなりました。
ムーンライト号
この夜行寝台列車は、そのほかに下記のような列車があります。
★ ムーンライト信州 : 臨時列車
新宿-松本-白馬
★ ムーンライトえちご : 定期列車 (今年春のダイヤ改正で廃止)
新宿-新潟
★ ムーンライト高知 : 臨時列車 (運転休止中)
京都-高知
★ ムーンライト松山 : 臨時列車 (運転休止中)
京都ー松山
★ ムーンライト九州 : 臨時列車 (今回廃止が決定)
新大阪-博多
★ ムーンライト山陽 : 臨時列車 (2005年以降運転されていない)
京都-下関
ムーンライト九州の廃止
また、今回はムーンライト九州の廃止が決定しました。定期列車が廃止されるときには、「さよなら運転」が実施されたりして盛大なのですが、臨時列車が廃止されるときには単に運転が行われなくなるだけなので、なんとなくさびしい感じがします。
なぜこんなに夜行快速列車の人気が無くなってしまったのかというと、夜行バスが台頭してきたことが大きいと思います。昔から東名高速道路などは整備されていましたし、また国鉄ドリーム号など夜行のバスも運転されていました。
しかし、このところは民間のバス会社も夜行バスに参入してきて激しい価格合戦を繰り返しています。今では東京から大阪までのバスでの移動が一人当たりわずか4000円程度にまで価格が下落しました。
高速バスの車両は座席のリクライニングもしっかりとしていて、列車よりも快適になってきています。これでは、なかなか夜行列車に勝ち目はありません。
しかし、排出される二酸化炭素ガスの量などを考えれば、決して夜行バスはほめられる乗り物ではありません。本来であればJRにはもっとがんばってサービスを向上させて顧客を奪い返してほしいところです。
今後、夜行列車は鈍行列車に限らず、どんどん縮小される方向になる気配ではありますが、この傾向は残念な限りです。
【2021/01/22追記】
ムーンライトながらの運転終了
臨時夜行快速のムーンライトながらが運転を終了することが発表されました。お客様の行動様式の変化、により列車の使命が薄れたことに加えて使用している車両の老朽化が理由です。国鉄時代には大垣夜行として毎日運行されていました。この頃、大垣夜行やその先は普通列車を乗り継ぎながら四国の高松まで行ったことがあります。
その後、1996年からは全車が指定席化されてムーンライトながらという名前になりました。2009年からは季節臨時列車化されています。やはり、夜行列車は今後も急速になくなっていきそうです。
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