DVDレコーダー「スゴ録」のハードディスクに録画されている番組を久しぶりにチェックしていると、日曜劇場「官僚たちの夏」というドラマが初回から録画されていました。この作品は城山三郎の原作で1975年に新潮社から刊行された作品です。
まずは初回から見てみましたが、映画「三丁目の夕陽」のような昭和30年代の町並みが出てきたり、街を行き交う人が昔っぽい服装をしていたりして、かなりTBSとしては力を入れて制作しているようです。また、当時の家庭に電気炊飯器や洗濯機といったものが普及していく様子も描かれていました。
当時は電気の需要に電気の供給量が追いつかず、ときどき停電も発生していたようです。私が子どもの頃にも確かに停電があったような気がしますが、最近では停電と本当に無縁になってしまいました。ずいぶん、インフラも整備されたものだと驚くばかりです。
このドラマでは昭和30年代の通産官僚と産業界の奮闘を描いています。当時は日本の繊維製品がその低価格を武器にしてアメリカ市場を席巻したことで貿易上の問題に発展していました。日本製の綿製ブラウスが1ドルブラウスとして非常に人気が出ていたそうです。そんな貿易問題の解決にあたったり、日本の国をより豊かにするために通産省の官僚は当時必死に頑張っていたようです。
日本の国を豊かにするために力を入れていたことは、家族4人がのることが出来て時速100Kmで走行することが出来る国民車を作ろうということです。この国民車の開発の様子やテスト走行の様子を再現していました。当時の自動車は非常に値段が高くて一般家庭では手が届くような値段ではなく、これを各家庭に普及させることを一つの目標としていました。このような流れの中で誕生したのがスバル360になります。
ドラマを見ていると、アメリカの自動車産業と比較すると比べものにならないほど脆弱な日本の自動車産業の育成はなみなみならぬ努力が必要であったようです。アメリカのカーディーラーを招いて走行テストを実施し、実際に時速100Kmを実現しましたが、アメリカ人からは、「まるでおもちゃのクルマだ」と馬鹿にされたそうです。日本で国民車を開発すること自体に対する反発もかなりあったようですが、それでも通産省としては絶対に成功させると力を入れてきました。今の日本を築いていく中で貴重な取り組みであったことに間違えありません。
【2009/07/19追記】
コメントをいただきました。ドラマではかなり積極的に当時の通産省は国民車構想に関与したように見えますが、実はそんな事実は無かったのだそうです。国民車構想についても正式に政策として発表したものでは無く、机の上にわざと目立つように置いておき、新聞記者がこれをもとに記事にして世に広まったとのことです。
★官僚たちの夏 – 池田信夫 blog
★通産官僚たちの自動車政策(1)「国民車構想」の虚実 – Culture Vulture
さらに調べていくと、完全にフィクションというのは言い過ぎの面もあるという指摘もありました。
★2009-07-08 – satolog
この本の中に政府の振興策について書かれていると思われる本がありました。
この本の解説は下記のようになっていました。
第1章 乗用車生産技術確立期(1950年代)(外車組立による技術導入・国民車構想/優良自動車部品認定期則・第1次機械工業振興臨時措置法)/第2部 乗用車量産体制確立期(1960年代)(集約化構想と道路整備事業/第2次・第3次機械工業振興臨時措置法)/第3章 国際競争力確立期(1970年代)(安全・排ガス規則/電子工業及び機械工業振興臨時措置法)/第4章 貿易摩擦下の自動車産業政策(1980年代)(輸出自主規制と日米自動車企業/特定機械情報産業振興臨時措置法)
このタイトルだけを見た限りは色々な形で振興していたようにも見えます。
もう50年近く前の話なので、なかなか公式の発表などに行くつくことが出来ませんが、もう少し調べていたいと思います。
コメント
えーっと…池田信夫さんのblogあたりを読んでください
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d774cf9863b372007dff05d58397215b
少なくとも車に関して、通産省は足をひっぱることしかしてません
コメントありがとうございました。コメントをきっかけにして色々なところを調べてみました。通産省は国民車構想をリークしたことはあったものの、それ以外は積極的には関与をしていなかったみたいですね。