3月11日の東日本大震災が発生する40分前に、東北地方の上空300Kmにある「電離圏」の電子が以上に増えるという現象が発生していたようです。地震が発生する前には地震雲が出来るという話しもありますが、それと似た現象でしょうか。
そして、この電離圏の電子が増えたことを、北海道大学の教授はGPSの電波から突き止めることが出来ました。他の巨大地震(2010年のチリ地震、2004年のスマトラ沖地震、1994年の北海道東方沖地震)でも同じ現象が見られるのだそうです。これを系統的に分析していけば、もしかすると地震予知に役立てることが出来るかもしれません。
GPSから地球に向けて発信される電波は、電離圏で電子の影響を受けます。電離圏をさまよう電子の数が多いほど、この電波は大きな影響を受けることになります。教授が国土地理院のGPSの記録を大震災の前後で調べました。すると、発生の40分前に震源の上空で電子の数が増え始めて最大時には1割ほど増加しました。そして地震が発生したあとに元に戻りました。地震と何らかの関係がありそうです。
GPSであれば日本全土が網羅されていますので、これが地震予知に役立つのであれば非常に良いニュースだと思いました。もしも、地震発生の40分前に、巨大地震がやってくることを予知できれば、ずっとたくさんの人の命が助かるのではないかと思います。研究がさらに進み、精度の高い余地につながると嬉しいです。
【2024年10月30日追記】
このエントリーを投稿した12年前は電離圏の観測を主としていましたが、今ではGPSで地殻変動を観測して地震予知に役立てようという取り組みが京都大学・防災研究所 西村卓也准教授によって行われています。様々な手段で多角的に地震の予知を実施して、総合的に判断するような体制が整っていくと良いと思います。
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