山水電気の民事再生法適用申請

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山水

 今年の4月2日に山水電気が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は2億4765万円です。

 こちらの山水電気は今でこそ経営難のために、事実上はメーカーとしての活動は実施されていませんが、1970年代から1980年代にかけては、特にオーディオのブランドとしては、一流のメーカーでした。

 会社が設立された1940年代は主にトランスの生産、販売を実施していましたが、1960年代終わりに海外向けに商品化されたレシーバーが大ヒットして、オーディオ機器の生産、販売にシフトしたとWikipediaでは紹介されていました。

Sansui Eight Receiver 1971

Sansui 4000

 1984年には525億円もの売り上げがあったそうです。この頃は私もオーディオに興味があったので、この山水電気のブランドには憧れがありました。どっしりとした山水のプリメインアンプはいつか手に入れたいと思っていました。


 しかし、その後は世の名にオーディオとビジュアルの融合が始まりました。純粋なピュアオーディオよりも、サラウンド機能が付いた商品の方がもてはやされるようになりました。アンプにはオーディオの信号以外にビデオの信号も入出力できるようになったりした、いわゆるAVアンプが全盛になって来ます。

 その後はコンパクトディスクやレーザーディスクで音声がデジタルで扱われるようになり、この頃から徐々に山水電気の名前は聞かなくなって来たような気がします。

 1986年に希望退職者を募り、1989年には英国の企業に買収されました。

 山水電気の事業所は井の頭線の永福町駅と明大前駅の間、井の頭通りと挟まれたところにありました。その建物も現在では見ることができません。

 同じオーディオメーカーであったトリオはKENWOODとして生き残りをはかり、現在でも日本ビクターと経営統合をはかりつつ、現在でも活動を続けています。

 そして、パイオニアは現在では家庭用オーディオメーカーというよりは、車載用のカーオーディオ、カーナビの分野で活躍しています。

 そういえば、ナカミチという会社もありました。こちらの会社はカセットデッキを得意としていた会社です。こちらの会社の3ヘッドデッキ(録音、再生、消去用のヘッドが独立したデッキ。録音しながらその音を再生することが出来て微妙な音質を調整できる)はあこがれの的でした。最近ではこの会社の名前を聞かないので、調べてみると、1997年に香港の会社に買収されたあと、2002年に民事再生法の適用を申請して倒産したそうです。こちらの会社もデジタル化の技術革新の波についていくことが出来なかったのかもしれません。

Nakamichi 480

 技術の急速な進歩で、どのオーディオメーカーも非常に困難な戦いを強いられて来たことになりますが、このように三社が三様の状況になっていることを考えると、そのときどきの経営判断がいかに重要なものであったかがよくわかります。どちらかといえば、山水電気は純粋なオーディオにこだわり続けたことが、事業の発展に対して大きな影響があったのかもしれません。

【2014/07/17追記】

2014年7月16日に各報道機関で、山水電気が東京地裁から破産手続きの開始決定を受けたという報道がありました。7月9日付けで決定されたそうです。2012年4月に民事再生法の適用を申請して事業再建を目指していましたが、スポンサーとなる企業が見つからずに資金繰りがつかなくなってしまったとみられるとされています。

SANSUIのブランドについては、ライセンスをドウシンシャが取得して商品を販売しています。

 ☆オーディオ・スピーカー・イヤホンの専門ブランド/SAUSUI

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