最近、電気自動車に対して少し風当たりが悪くなってきたような気がします。一つは週プレNEWSで紹介されたEVタクシーの運転手の声です。ここでは、大阪で導入されたEVタクシーの最近の状況が紹介されていました。
2011年2月に鳴り物入りで導入されたEVタクシーも今や補助金を受け取ることができる3年間、どうにか使い続けるための消化試合になっているようです。当時は百数十万円の補助金が出て実質、各タクシー会社は200万円ほどで入手ができました。しかも、ガソリンと比較すると電気代は非常に安いので、ランニングコストも安くなると期待されていました。
タクシーで使われていたということもあって、きっとバッテリーの放電、充電は相当の回数が行われたのだと思いますが、バッテリーがかなり劣化していて、充電には初期の状態と比較して倍の時間がかかるものの、満充電にしても初期の半分の距離、約50Kmしか走ることができないと書かれています。
これでは、長距離のお客さんをのせることはできないので、お客さんを断ってしまうこともあるようです。ある運転手は売り上げは普通のタクシーと比較して半分以下とインタビューに答えているので、かなり厳しい状況なのでしょう。
最近のガソリン車のエコカーの中にはリッター25Kmは走るクルマもあるので、単純計算をすると50Kmと言うとガソリン2リットルしか積むことができないタクシーということになってしまいます。
こんな状況なので、客待ちの間に暖房や冷房を使うこともできません。冷暖房を利用すると走行可能距離が減ってしまうためです。従って、タクシー運転手には過酷な環境になってしまっているようです。
年間で10万キロも走るようなタクシー業界でEVタクシーを利用するのはまだ時期尚早なのかもしれません。
一方で個人利用の方含めて、電気自動車の日産リーフは2010年末の発売からまだ累計の販売台数が5万台にしか達していません。目標としては2016年度までに150万台を目標にしているため、まだまだ実現は厳しそうな状況です。
充電するためのスタンドは随所に増えてきましたし、政府や自治体による補助金の助成も続いていますが、大きな成果には結びついていません。
特にバッテリー技術については、リチウムイオンバッテリーが導入されてから、まだ大きな進歩はみられていません。色々な会社や研究機関で、安全で高寿命な商品の開発が進んでいるものと思います。イノベーションのジレンマで紹介されていたように、いつかガソリン車よりも電気自動車の方が大きなメリットを感じられるようになり爆発的に普及する気がするのですが、今後の成果に期待したいところです。
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