イアン・エアーズが執筆、山形浩生が訳した「その数学が戦略を決める」という本を読んで見ました。ビッグデータの関連図書として紹介されていた本で、読者からの評判も良かったので選びました。文藝春秋社が発行している文庫本なのですが、結構厚いです。453ページもありました。
著者はエール大学の教授で経営学部と法学部の両方に籍を持っています。データ分析によって問題解決の道筋をつける「絶対計算家」として名高いと紹介されていました。
訳者の方も東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了後にマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了、そして大手調査会社に勤務しながら翻訳や執筆活動を行っているそうです。
とにかく、絶対計算や統計を駆使することによって、世の中で役にたった事例が本当にたくさん載っています。ワインの将来の価値予測に始まり、公共分野、医療分野、教育分野などにおける活用事例が満載です。
どんな事例が紹介されているかは、巻末にある付注を見ると良いでしょう。386もの引用文献が紹介されているのですが、ここに「対照群と低脂肪食グループ」といった要約がありますので、何と無く本文中で何が取り上げられているのかわかります。
自分が直面している問題そのものは無いにしても、何か解決に向けたヒントはあるかもしれません。私の欲しい情報に近い事例も紹介されていました。
これから先、事実に基づいて推測するようなことはコンピュータの仕事になっていくのでしょう。人間として付加価値をつけるとすれば、これをどんな形で実社会で起こっていることと結びつけて、問題解決や便利な社会を作っていくか頭をひねる部分になるのではないかと思います。
今までは、物事を暗記して、その引き出しから、出すことが一つの価値になっていましたが、今やWeb上に大量にデータがありググればいくらでも情報が入手できる時代になりました。
その大量なデータの中から如何に価値ある情報を導き出すか、その付加価値を見いだす力に真価が問われることになりそうです。
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