NTT出版から販売されている「美徳の経営」という本を読んでみました。著者は一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏、そして多摩大学大学院教授の紺野登氏です。2007年6月に初版が販売されています。
いつもであれば、新品を買うところではありますが、今回は楽天市場のブックオフオンラインで購入したので格安な値段で入手することができました。
美徳の経営とは「社会・市場にかんする長期的・本質的な視点に基づく営為である。そこでは、賢虜を共有したリーダー、ミドル、イノベーターが、ビジョンと現実、目的と手段を、弁証法的な展開によって実践に結びつけていく経営である」と定義されています。
本書籍の中でも積極的に、「ヒジョナリーカンパニー」からの引用がありますが、何となく書かれていることは似ているように感じます。リーダーに求める資質については、賢虜という言葉が使われてはいるものの、ビジョナリーカンパニーの定義と似ているように感じました。
ただ、少し違いがあったのは、リーダーに対して、アートやデザインへ大きな関心を持っていることと結びつけようとしている点です。確かに社長や役員のクラスになると、そのような傾向が高いような気はします。特に最近の経営環境だと、単にある機能だけが凄くても売れるとは限らず、例えばダイソンの掃除機のように高いデザイン性が兼ね備えられていなければいけないこともあります。アートやデザインといった視点についても、やはり無関心ではいられない分野なのでしょう。
後半ではスティーブジョブスやアップルに関して触れられています。ここでは、やはりデザインの重要性が触れられていました。日本企業でもiTunesやiPodに相当するような創造をしていかなくてはなりません。
私にとっては少し難解な部分と、一般のビジネス書にも書かれているようなこととが組み合わされていて、少し変わった構成だという印象がありましたが、最後まで読み進めると歴史の理解の仕方など参考になる部分も多くありました。
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