建設機械を作っているコマツという会社がありますが、こちらの会社で2001年から2007年まで代表取締役社長に就任されていた坂根正弘氏が書いたダントツ経営という本を読みました。
建設機械というと地味な印象があるのですが、書籍を読んでみると、とてもダイナミックな市場であることがわかりました。やはり、建設が活発に行われている国に建設機械の需要が集まるので、その出荷台数や稼働率などをみると、どこでこれから大きな経済発展が見込めるのか、手に取るようにわかるようです。
特にコマツで力を入れたものの一つに、各建設機械の稼動状況をモニタリングしてセンターで一括管理することができるシステムがあります。当初は建設機械のオプションとして、プラス15万円で販売していたようなのですが、そうすると買ってくれる人が限られてしまうこと、及びこのシステムがコマツにとっても大きなメリットがあることを再認識したことから、各建設機械に標準搭載する方針に途中で切り替えたそうです。
このシステムのおかげで、世界各国のどの地域で建設機械の稼働率が高まっているのかが手に取るようにわかるようになり、在庫をどの程度生産しておくか、ある程度計画的に対応できるようになりました。
他にリーマンショックに突入したときの恐怖や、各協力会社とどのようにその危機を乗り切ったかなど、色々なエピソードも紹介されています。
ヤマト運輸の小倉元社長の経営学でも、世の中の動きを大局的に捉えて論理的に物事を考えていることが印象に残ったのですが、こちらのダントツ経営でも同様の印象を持ちました。
【2019/08/01追記】
コマツが建機の遠隔監視システム「コムトラックス」を世界に先駆けて発売してから20年が経ちました。2017年にはデータ活用の情報基盤であるランドログを立ち上げたのに続いて、後付けで建機をデジタル化できる機器(レトロフィット)を2020年に投入する予定です。
NTTドコモが高精度な位置情報を提供することにより、建機のオペレーターはデジタル設計図と照合しながら誤差2センチメートルの精度で位置を把握できるのだそうです。
建機の世界では中国で低価格を武器にして中国メーカーが育つなど、厳しい競争環境にあります。コマツでは2021年度までの中期経営計画で先端デジタル領域に1600億円の投資をして、デジタル時代にも競争優位な状況を作ろうとしています。
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