埼玉県を走っている秩父鉄道は地方鉄道に良くあるように、JRや大手私鉄から払い下げられた中古の車両を活用して電車の運転を行っています。
101系電車
そんな車両の中に、戦後の高度経済成長期を長年にわたって支えてきた101系という旧国鉄の車両が最後の運転を3月23日に行いました。
この電車が登場する前の電車は、モーターを搭載した電動車はこれ一台で走行できるように走行に必要な機材が全て搭載されていました。従って、両端に運転室がある車両では、本当に1両での運転が行われていました。しかし、電動車がどうしても重くなってしまうため、エネルギー的にロスが生じます。
そこで、101系通勤電車では、電動車が2両揃わないといけないようにしました。モーター自体は2両ともに搭載して駆動力は損なわないようになっていますが、その他の機器については2両の車両に分散して搭載されています。たとえば、電動車でもパンタグラフがある車両と無い車両があるのはこのためです。また、床下にある機材も形状が異なります。
昭和32年登場
この101系通勤電車が登場したのは昭和32年です。登場した当時はモハ90系電車とされていましたが、その後の改称により、101系電車となりました。首都圏の中央線や山手線、関西の大阪環状線など色々な線区で利用されました。両開きドアが1両片側あたり4カ所に搭載されている上、色もオレンジやグリーンなど線区によって塗り分けが実施されて、通勤電車もとてもカラフルになりました。
しかし、その後は後継車両となる103系、201系などの通勤電車が順次投入されて、随分前にJRでは見かけなくなりました。そして、現在では秩父鉄道でしか運転されていませんでした。ただ、その秩父鉄道でも、さすがに50年以上が経過した車両ということで老朽化が進んだため、引退が決まり、今回のラストランにつながりました。
昔、中央線でよく乗っていた101系電車の営業運転がなくなってしまうことは、とても寂しく感じます。
【2021/02/16追記】
紙切符からICカードへ
総延長71.7Kmの秩父鉄道が来年3月を目処にICカード乗車券を導入することを決めました。明治時代から現在に至るまで紙切符で通してきましたが、国や沿線自治体の補助制度を活用することで資金面の目処が立ちました。秩父鉄道でICカード乗車券の導入が行われると埼玉県内で走る鉄道8社すべてがICカード乗車券に対応することになります。
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