インターネット接続プロバイダのniftyに大きな変化が訪れようとしています。一部の報道機関で、親会社の富士通がニフティを売却する手続きに入ったと報じました。すでに国内の投資ファンドなどに打診を始めたとされています。
ニフティの歴史
ニフティは1986年に富士通と日商岩井の共同出資で設立されました。当時はまだインターネットが一般には使われていない時代になります。パソコンで言えば、NECが日本国内では全盛期でした。日本語の漢字などを高速に表示できるように独特のアーキテクチャが採用されていました。V30というCPUが搭載されたPC9801VMなどの機種が売れていた時代だと思います。
まだ、このときはパソコンはスタンドアロンで使うのが主流で、ネットワークに接続することはあまりありませんでした。ただ、一部の先進的なユーザーはモデムを買ってきてパソコンを電話線につなぎ、外とのコミュニケーションをとっていました。そんな中で生まれてきたのが、パソコン通信というサービスです。
パソコン通信には情報を蓄積したり利用者に提供したりするホストコンピュータがあり、そこに電話回線などを通じて各地の利用者が接続するという形態をとっていました。このホストコンピュータの運営は富士通系のニフティや日本電気系のPC-VAN、アスキーなどの大手のほか、個人でパソコンをホストコンピュータにみたてて運営する草の根ネットなどがありました。
パソコン通信2強時代
PC-VANとNIFTY-serveが二強で色々なところにアクセスポイントがあり、使いやすかったことを覚えています。アクセスポイントまでは電話代が発生するので、できるだけ家の近所にアクセスポイントかあった方が通信費が安くて済みます。また、これらのパソコン通信サービスに加入すると、メールアドレスをもらってメールを使うこともできました。
PC-VANはどちらかと言えば定額プランなどもあり大衆的なイメージ、NIFTY-serveは色々な分野の話題を取り扱うフォーラムの議論も活発で少し高級なイメージがありました。私自身はNIFTY-serveを中心に使っていたと記憶しています。
インターネットの普及
1995年くらいまでは、パソコン通信の全盛期が続きます。最盛期にはNIFTY-serveには200万人もの会員がいたそうです。しかし、Windows95の発売あたりからインターネットが急速に拡大して、パソコン通信の需要は落ちて行きました。そして、PC-VAN(今のBIGLOBE)やNIFTYはインターネット接続プロバイダとして生き残りました。
ただ、インターネット接続プロバイダという仕組み自体、自宅から固定の回線でインターネット接続を行う場合に必要な仕組みであり、主流になりつつある携帯電話キャリアなどを使ったインターネット接続では必ずしも必要ありません。これから先、日本では人口減少も待ち構えている中、成長のシナリオを描きにくくなった産業であることに間違えありません。そんな中で、売却の動きが出てくるのはとてもリーズナブルだと思います。すでに日本電気はBIGLOBEを日本産業再生パートナーズに売却することを3月に発表しました。
富士通の対応
富士通は4月10日に今回の報道に対して、同社が発表したものではなく売却の手続きに入った事実はないと否定しています。ただ、さまざまな可能性について検討しているとも発表しています。今回の報道を株式市場は好感しているので、全否定はできなかったのでしょう。
私自身は現時点でもニフティのプロバイダサービスを使っていますので、今後の動きがどうなるのか、とても気になります。
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