最近、NTTドコモやau、ソフトバンクといった大手のキャリアではなく、BIGLOBE、IIJMOなど全く別の会社から提供されているMVNOというサービスが注目を浴び始めています。MVNOは日本語でいうと仮想移動体通信事業者とさらにわかりにくくなりますが、自身では通信ネットワークを持たずに大手のキャリアなどから回線を借りて、それを再販売しているようなサービスになります。
モノに例えると、アップルのようなファブレス(工場を持たない)会社に近い存在です。必要な分しか回線を借りないので事業のリスクは少ないですし、大手キャリアのように直営店や代理店などを全国にたくさん展開しなければいけない訳でもありませんので販売費も安く済みます。そのため、大手キャリアと比較して安価に回線を提供することができます。
行政としても大手キャリアの通信プランは高止まりしてしまっており、料金体系に自由度がないことを問題視しており、これを改善していくためにはMVNOのサービスを一般的にしていかなければいけないという思いがあります。
そんな背景もあって、4月14日に総務省からMVNOサービスの利用動向に関するデータの公表がありました。平成25年12月末時点のデータになります。
・2013年末のMVNOの契約者数は1375万件、2012年末の1010万件から36.1%の伸び
・携帯電話やPHSなど携帯通信全体の契約数は1億5325万件。MVNOはその9%。
・MVNO の認知度は12年度の31%から13年度の48%に大きく向上。
→あまり、半分の人がMVNOのことを知っているとは思えないのでどんな調査だったのかが気になります。
・MVNO の契約者数の内訳は、携帯電話・PHSが717万件、BWAが657万件。SIMカード型のMVNOサービスが138万件です。実はSIMカードで提供する形態はMVNOの中の10%程度しかない。
・MVNO の事業者数は全部で161社。このうち上位の33社で9割の1317万件を占めている。
MVNO のサービスは安価なものでは500円ほどからありますので、回線品質は本当に大丈夫なのかと心配になるかもしれませんが、大半のMVNO業者はNTTドコモから回線を借りているので、基本品質はドコモと同じです。従って品質に対する心配はありません。
NTTドコモはなぜMVNO業者に対して安く回線を卸さなければいけないのかというと、それは総務省が公表したガイドラインに従って接続料金を算定することが義務づけられているためです。従って、NTTドコモが卸の分野で独占していても、価格を自由に上げることができません。回線の卸値はその回線の太さによって決まっており、MVNO業者はその太さを10Mbpsから1Mbps単位で選ぶことができます。この卸値自体が毎年のように値下がりを続けているそうです。
また、MVNO業者が提供するサービスによってデータ通信サービスのみであったり、オプションで通話ができたり、初めからデータ通信と通話がセットになっていたりと色々なプランがあります。
これにLTEによる高速通信ができる総容量、高速通信の容量を使い切ったあとの通信速度の上限などのバリエーションが組み合わさって、いろいろなサービスになっています。
安くしたい場合は、できるだけLTE通信は使わずにWi-Fiスポットを使い、さらにキャリアの音声通話は使わずにlineなどの通話を利用することで節約ができます。
最近ではサービスの数もとても増えてきたので、比較をすることも大変になってきました。こちらのサイトの比較がとてもわかりやすかったので紹介しておきます。
☆[MVNO SIMカタログ【2014春】~最安SIM編] – ケータイ Watch
この中でもっとも安いプランはDTI社が提供している「ServersMan SIM LTE」というサービスです。高速通信はオプションを購入しなければいけませんが、150Kbpsでの通信をすることができます。Twitterやメールなどテキスト中心で利用する分にはあまり不便は感じないかもしれません。
さらに1GBの高速通信をつけたものは、IIJ社の「ウェルカムパック for BIC SIM ミニマムスタートプラン」が安いです。ビックカメラで扱われているようですが1ヶ月900円で1ヶ月で1GBまでのLTE高速通信が使えます。これを使い切ると200Kbpsでの通信になります。
私自身は現在のドコモへ払っている料金が3000円程度で済んでいるのでMVNOへの乗り換えは考えていませんが、安く運用できる2年の期間が終わったあとはMVNOの利用も選択肢に入るかもしれません。
コメント