以前よりパイオニアのAV事業は苦戦を強いられていて売却先を探しているというニュースがありましたが、その売却先が決まったことが正式にパイオニアから発表されました。売却先はオンキョーと投資ファンドの企業連合になるそうです。パイオニアのAV機器を生産、販売する子会社であるパイオニアホームエレクトロニクス社の株式、51%を売却します。
パイオニアは1981年10月に家庭用のレーザーディスク(LD)プレーヤー(LD-1000)を発売しました。価格は22万8000円でかなりの高額です。当時、この装置はとても欲しかったのですがとても手が出る価格ではありませんでした。ここからコンパクトディスクも再生することができるレーザーディスクが発売されて、さらにレーザーディスクの音声フォーマットにもデジタルになりました。この頃がもっともAV事業でパイオニアが輝いていた時期だったのではないかと思います。「光ってるやつにはかなわない」というキャッチフレーズがあったと思います。
当時は日本ビクターがVHDという方式のビデオディスクを販売していましたが、好調なパイオニアに勝つことはできず、やがてVHD方式の新製品は発売されなくなりました。レーザーディスクプレーヤーでCDも再生できたことは本当に魅力的だったと思います。CDプレーヤー自体も発売されたばかりのときには15万円ほどの価格でした。従って、ビデオディスクプレーヤーとCDプレーヤーを両方揃えることは非常に厳しかったためです。しかし、そんなレーザーディスクもDVDにその座を明け渡すことになり、今ではほとんどレーザーディスクを見かけなくなってしまいました。最初にパイオニアがレーザーディスクから撤退するという報道があったのは2002年のことだったそうです。
バブルの崩壊などもあり、AV事業に陰りが出る中、カーエレクトロニクス事業にパイオニアは力を入れ始めて現在に至っています。AV機器事業の売上高は全体の約1/5である約1080億円にまで縮小しています。
以前は若い人の一つのあこがれはステレオのセットを購入することだった時期もありましたが、今ではノートパソコンなどを購入することにより一通りの音楽を聴く環境ができあがってしまいます。Youtubeには多くの動画が無料で公開されており、パソコンで簡単に再生ができます。家庭用テレビにApple TVやchromecastを接続すれば有料のネット動画も簡単に見ることができます。あえて、AV機器を買おうという人も減ってしまったのではないかと思います。
ただ、パイオニアが事業の柱と位置づけるカーナビゲーション事業にも技術進歩による業界の構造変化の波が押し寄せています。今や20万円もする2DINタイプのカーナビなど購入する人はかなり減ってきているのではないでしょうか。ポータブルナビでも道案内には十分な性能があります。さらには、スマートホンやタブレットで提供されているアプリでも十分な性能が発揮できるようになっており、今となってはポータブルナビですら、その地位が危うくなっています。スマホとの連動などいろいろな模索が行われていますが、次の事業の柱がどのように打ち立てられていくのか気になるところです。
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