ソニーが2015年3月期の連結業績予想を従来予想の500億円の赤字から2300億円の赤字に大幅に下方修正しました。スマートフォンの販売不振によりモバイル事業の営業権を減損損失として1800億円の計上をしなければいけなくなったからです。
この措置により、1958年に上場してから始めて、無配になることを決議しました。平井一夫社長は記者会見を行いましたが、この中で「初めての無配で経営責任を重く受け止めている」と発言しています。今までリーマンショック後の6年間で5回の最終赤字を計上していながらも配当は継続していましたが、今期はその配当ですら出来なくなってしまいました。
反面、今年の6月26日に発表した有価証券報告書によると、平井一夫社長の平成26年3月期の基本報酬は1億8400万円で、前年同期と比較して円換算で3100万円も増えたのだそうです。これは報酬をドル建てで貰っているためで、報酬そのものは180万ドルで前年と同額でしたが円安の進行により、実質的な給与は増える形になりました。
平成26年3月期に史上最高の営業利益を達成した日立製作所の中西会長は1億7300万円でそれすら上回る報酬を平井社長は受けていることになり、本当にこれで良いのか気になるところです。
今年の8月頃からソニーの株価については上昇を続けていました。8月1日には1800円台でしたが、昨日には2100円台にまで株価が上がっていました。株主は今回の発表で業績回復の話しを聞くことができると期待していたのかもしれません。報道を追っていくと、円安による輸出株の物色を背景にイメージセンサなどの事業拡大への期待が高まっていたことが株価上昇の要因だったようです。
しかし、今回の発表により明日の株価がどう動くのかが気になります。格付けを下方に見直す話しも出てきており、とても厳しい状況ではありますが、悪材料出尽くしと考える投資家もいるのかもしれません。
従来はテレビ事業などエレクトロニクス事業の立て直しが最大の課題になっていましたが、今回はモバイルの販売低迷が業績悪化の引き金になってしまいました。SONYのスマートフォンについては、「Xperia」というブランド名で、とても良い商品を作っていると評価していました。一時期は韓国のサムスン電子、米国のアップルに続いて第三位のスマホメーカーを目指していました。私自身、Xperia Zを使っていますが、iPhoneと比較しても十分に高性能で使いやすいハードだと思います。日本では人気も出ていたと思うのですが、まさかこれほどの業績悪化の要因になってしまうとは思っても見ませんでした。
今回のスマホの不振にともなって、ソニーモバイルの全世界の従業員の15%に相当する1000人を今期中に削減する方向です。会社の建て直しのためには必要な対策なのかもしれませんが、平井社長の給与の額などを考えると、リストラに走ることが本当にこれで良いのかという気もします。
SONYについてはまずは明日の株価の動きを確認し市場の受け止め方を確認していきたいと思います。
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