日本は国民全員に健康保険の制度が行き渡っていて、病気にかかっても急に大きな金額が必要になることを防いでくれています。ただ、その健康保険料は給与に占める割合も徐々に大きくなってきていて、負担は増えてきています。今後、高齢化社会が進展するのに従って、さらに医療費が増えてしまうと、さらに保険料が上がるという悪循環を繰り返してしまいます。
そこで、健康保険組合などの各保険者では病気にならないための予防に力を入れています。たとえば、メタボの判定を行いもし判定に引っかかった場合は運動週間や食事の指導が入るのはこのためです。生活習慣病になる因子を取り除いていけば、将来、心臓疾患や脳疾患にかかる可能性も減り、その分、医療費も抑制されることが期待できます。
そんな特定検診(メタボ検診)の数値が改善した人などを対象にして、医療保険の保険料を安くする仕組みを厚生労働省が作る方向で検討していることが報道されていました。本来は保健指導を受けて将来、病気になる可能性が減ること自体が国民にとっては大きなインセンティブなのですが、どうしても将来のことよりも今、快適であることを優先してしまうと、どうしても数値が改善しません。しかし、現在の保険料が安くなるのだとすれば、がんばろうと思う人が増えるのではないかと思います。
厚労省では9月19日から審議会で新しい制度の仕組みを議論して、来年の通常国会では保険料を安くすることができる法案を提出する方向です。そして健康保険組合などのシステムの対応を行った上で2016年度以降に実施する健康保険組合が出てくるような段取りになりそうです。
対象となる公的医療保険は、主に大企業および企業連合で運営されている健康保険組合、自営業者が加入している国民健康保険、中小企業の会社員が加入している全国健康保険協会です。
今回の制度ではメタボ検診を通して数値が良くなった人が候補となりますが、それでは、もともと健康であった人に不公平になってしまいますので、もともと健康な人にはお金やスポーツクラブの利用券などの給付を検討します。
また、1年間病院に行かなかったら1万円を支給する方法なども考えているそうです。ただ、1年間病院に行かないというのを条件にすると、条件をクリアしそうな人が無理をして病院に行かなくなると病気をこじらせてしまう可能性もあるので、あまり良い仕組みではないかもしれません。
コメント