米国のアマゾンドットコムが2014年の第3四半期決算を発表しました。今回の決算において、アマゾンが6月に新たに発表した製品であるFirePhoneに関する1億7000万ドルもの多額の費用を計上したことが明らかになりました。
また、同時にFirePhoneの在庫を8300万ドル分も持っていることも明らかになっています。この在庫は自社が保有しているもののほか、再販業者の在庫、サブライヤーへのコミットメントで解約不可能なものが含まれているそうです。売れないにもかかわらず、作られ続けるということでしょうか。
この費用計上に伴い、アマゾンは5億4400万ドルもの赤字決算になりました。今回の決算発表により、アマゾンはFirePhoneという製品が事実上、失敗だったことを認めた形になります。まだ、発表されてから4ヶ月ほどの製品であるにもかかわらず、これほどまでに凄いことになるとは思ってもみませんでした。
記事によれば、FirePhoneの1台あたりの製造コストは205ドルと言われていますので、逆算すると数十万台のFirePhoneが売れ残っているのではないかと書かれていました。Amazonでは今までに販売された台数を公表していませんが、商品レビューの点数などを見るとあまり評価されてはいないので、売れ行きはかなり厳しい状況だったのでしょう。ユーザレビューでは3000を超えるレビューが寄せられているものの、星は2つにしかなっていません。
発売当初はAT&Tの2年契約価格で199ドルでしたが、現在は実質1ドルにまで価格が下落しています。これも販売促進策の一環であったと思いますが、今回の決算発表を見る限り、十分なリカバリには到底至らなかったようです。
先進的な機能を搭載していたので、どれくらい普及するのか発表当初から気になっていたのですが、とても残念な状況です。
Kindleのときにもそうでしたが、良いハードを相場よりも安く販売して普及を促して、自社のサービスを売るというビジネスモデルで進めています。ただ、Kindleについても、ハードの価格は安いものの、Android標準のアプリストアが使えなかったり、あまりオープンな設計思想ではありません。私自身もタブレット購入時に一時期はKindle fireを購入することも考えましたが、自由度の少なさからnexus7を購入しました。
まだ、日本では発売されていないこともありFirePhoneを使ったことがないので、どんなものなのかはわかりませんが、やはり何か消費者にアピールできるものが少なかったということでしょうか。
Amazonはまずは書籍のネット通販で実績をあげ、順次、書籍以外に取り扱い範囲を増やしていき、次に培ったIT技術を駆使してクラウドサービスを立ち上げるといった具合にうまくビジネスを拡大してきました。しかし、競合他社も同じサービスを提供するようになり、先駆者としての利益は徐々に限られてきて、マーケットはレッドオーシャンとなってきています。しかし、残念なことにまだ次のブルーオーシャンを創造するに至っていません。これは経営者としては切羽詰まった状況にあるのではないかと思います。
今後のAmazonがどう成長を続けていくのか、大変に興味深い状況になってきました。
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