消費税の税率を10%に引き上げる際、自動車取得税については廃止される予定になっています。これは、両方とも自動車を新しく購入した際にかかる税金という意味で、同じ目的で二つの税金が重なってしまっているからです。ただ、政府としては自動車税は貴重な財源のひとつです。単になくすだけでは政府の歳入が減ってしまうので、自動車取得税にかわる税金に関して検討が進められてきました。ここで出てきた案が「環境性能課税」です。
総務省は10月26日に自動車関係税の見直しを検討する有識者検討会を開いて、
・日本自動車工業会
・日本自動車輸入組合
・全国軽自動車協会連合会
・日本自動車販売協会連合会
・日本中古自動車販売協会連合会
の5団体から意見を聞きました。
この中では、日本中古自動車販売協会連合会を除く4団体が環境性能課税導入に対して反対であるという意見を出しました。
この税金は2020年度の燃費基準の達成度に応じて、取得した初年度に限り取得価格に0%から3%を上乗せする案で政府は検討しています。つまり環境性能が高いクルマを購入すれば環境性能課税はゼロで燃費の悪い車を購入すると最大で3%の税金が上乗せされるということになります。3%と言えば200万円のクルマを購入した場合には6万円にもなりますので、結構な大金です。政府としてはこの税金お負担を減らすために環境負荷が高いハイブリッド車などが売れるようになるのではないかと皮算用をしています。
消費税が10%に上がったうえ、環境性能課税まで行われるとなると、なかなか理解は得られないのではないでしょうか。クルマを新しく購入しようという人はますます減ってしまい、カーシェアリングなどを使う動きが加速する結果になるのではないかと思います。さらにハイブリッド車は一般のガソリン車と比較すると値段が高い上、数年間使えばバッテリーが寿命に達して取り替えるコストも発生するので、性格に比較した際、本当にお得になるのか否か、判断が難しい部分もあります。
2020年度の燃費基準がどの程度のレベルかというと、2015年度基準よりもさらに2割の改善が必要で、燃費では20.3Km/Lに相当するそうです。トヨタ自動車のプリウスやアクア、軽自動車ではスズキのワゴンRなどが非課税になる見通しだと記事では紹介されていました。また、ガソリン車の普通車では大半が1%から3%の課税になるものの、日産のセレナ、トヨタのパッソ、ホンダのオデッセイなどの一部車種が該当する見通しだとのことです。
逆にトヨタのアルファードや日産のスカイラインなどは2%の課税、トヨタのクラウンなどは3%の課税と紹介されていました。
税金を徴収することで国の懐は潤うという目論見をもっていると思いますが、これ以上、若者のクルマ離れが進むと、日本の経済力がさらに奪われて税収も減ってしまうという負のサイクルに突入してしまう危険性もはらんでいます。クルマを買い換えるサイクルもより長くなってしまうのではないでしょうか。できれば、これ以上の課税は避けて欲しいものです。
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