徳島県で大雪が降って、一部の町が孤立状態になりました。しかも、つるぎ町や東みよし町では倒木などの原因により停電も発生しています。これらの町では住民の安否確認ができない状態になってしまったそうです。
原因は、ほぼ全ての家庭がインターネット回線を利用するIP電話を使っているためなのだそうです。
昔のメタル回線とアナログ電話機(黒電話など)であれば、メタル回線に電気が通っていて、電話機のベルを鳴らしたり音声の授受や拡声をしていました。従って、通常の家庭用の電気と電話のメタル回線で供給される電気の2系統が自然に備わっていることになります。
ところが、光ファイバを使っていると、電気を流すことができませんので、IP電話機は別途引かれている電気が頼りになります。こちらの電気が停電になってしまうと、電話もできなくなってしまいます。
光ファイバだと、単に電話機だけではなく、終端装置やルーターなども電源が必要なので、単に電話機に電源が供給できるだけではダメです。
徳島県では平成14年から県内に光ファイバ網を整備してきて、これに伴ってIP電話も普及したのですが、これが逆に災害に弱い街になってしまいました。
メタル回線を使っていても多機能電話機は別途、電源を準備しないと通話ができないので、災害に対してはIP電話とあまり変わらないですが、いざというときは押入れの奥から黒電話を引っ張り出して来れば通話ができるというのは安心感があるかもしれません。
これからの時代、メタル回線を再度活用することはあまり現実的ではないと思います。
ただ、今回のようなことが再発しては困るので、光ファイバの終端装置やルーター、IP電話機にバッテリーを付けて、停電時も連絡が取れるような装置を設置する必要があるのではないかと思います。
調べてみると、NTTでは「停電時発信着信機能」を持つ装置を販売していました。しかし、フレッツ光 マンションタイプVDSL方式およびLAN配線方式でひかり電話を使っている場合は、ひかり電話対応機器以外の建物内の装置への電力供給も必要となるため、本対策だけでは利用できない場合があるそうです。
使っている電話機が、「停電時発信着信機能」に対応しているか否かを確認するためには、電話機のコンセントを外した状態で、その電話機が付いている回線に電話をかけてみたり、携帯電話などからその電話に電話をかけてみれば、発信や着信ができるか否かを確認できます。
NTTの製品に関しては、対応機器の機種名が「PR」で始まる機種に限られます。また、無線LANルーター等、電源アダプタで給電するものを介している場合は、ご利用できません。
これから光ファイバ網を整備して、電話機をIP電話に切り替えていく場合は、災害時のときまで考慮して、停電時発信着信機能を有している機器を導入していくべきなのでしょう。
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