ソニーモバイルコミュニケーションズ社がタブレット事業を縮小の方向へ

当サイトの記事には広告が含まれます
SONY TABLET

 PC Watchを読んでいると、ソニーがタブレット事業を見直すことが記事にされていました。2013年度時点ではタブレット事業はソニーモバイルコミュニケーションズ社全体の売上高の5%を占めているということですので、それなりの大きな事業です。

 ソニーのタブレットはNTTドコモが取り扱っていることで販売台数がそれなりに伸びていますが、日本以外ではプレゼンスがないことが課題です。タブレットにソニーならではの付加価値もないですし海外メーカー製に比較して価格も高いです。また、タブレット市場についてもパソコンの需要を取り込んで伸び続けるのではないかという観測も以前はありましたが、期待したほどには伸びていません。そのような状況を見て2016年度に向けて事業戦略を見直しているのだそうです。

 最近ではNTTドコモ自体も逆風を受けていて、特にSIMフリースマホの普及と格安SIMの台頭による影響は大きいです。このまま電話やネット通販での格安SIMの需要が増えていけば、NTT東日本や西日本の電話局が今は窓口営業していないのと同様に、NTTドコモの街角のショップも効率化のために縮小されていくのかもしれません。そうすると、あえてNTTドコモを通してタブレットを購入する必要もなくなってしまいますので、ソニーとしてもいつまでもドコモの販売網に頼り続けるのは厳しいと思います。

 記事の中ではタブレット事業からの撤退の可能性については現在は考えていないとソニーモバイルコミュニケーションズ社は回答していました。新しい戦略がない中、撤退の可能性は否定して規模を縮小しようとしているというのは、不思議な考え方という気がします。SONYではXperia Zシリーズでスマホ事業が成功しました。SONYの技術を集約したことが大きな要因とされています。しかし、その後は中国製の格安スマホなどの影響を受けて苦戦を強いられています。iPhoneは値段が高くても格安スマホの影響を受けにくい独自の市場を作り出すことに成功していますが、SONYもそのような商売をしないと生き残りは厳しいのでしょう。

 付加価値として想定されているのは、

  • 長いバッテリーライフ
  • より綺麗な画面
  • より綺麗な音
  • 高いカメラの性能

といったものがあげられていました。

 ただ、ここにあげられていることは従来の路線の延長であり、格安スマホですら既成の部品を組み合わせて徐々に性能を上げている部分でもありますので、この延長で勝負をしかけても勝ち目は少ないと思います。Appleではセキュアな決済分野への進出などを通して更なる強固な地盤を確立しようとしています。SONYも国内ではFericaで成功した実績もありますので、もっと事業の融合が進めばAppleには負けない新たな戦略が構築できるものと期待しています。

コメント