13年ぶりにJR山手線へ新型車両が投入されて営業運転が開始されていました。ところが11月30日に立て続けに3件のトラブルを起こしてしまい列車の定時間運転に大きな影響を与えてしまいました。乗客約700人を30分間缶詰、計1万7000人の足に影響を出してしまったようです。
三件のトラブルは以下の通りです。
(1)目黒駅 午後3時23分 停止位置を55センチ越えて停車
→車両を定位置に停止させる装置のブレーキ調整が適切ではなかったため
(2)大崎駅 午後6時47分 ホームドアが開かない
→車両の情報を制御する「列車情報管理装置」のソフトに不具合で誤った情報が伝達されたため。列車の停車位置を修正してドアを開けた後もホームドアが障害物を検知して出発ランプが開かないトラブルも発生
(3)大塚駅手前 午後10時52分 運転士がブレーキ異常に気が付き予備ブレーキによる手動運転に切り替え。停止位置の1.5メートル手前で停車。車内放送ができなくなり運転台にはモニターに複数の故障表示。プログラムの不具合が原因。電源をリセットしたところ復旧。
新型車両は4月から11月にかけて計1万キロの試運転を実施してプログラムや装置に問題がないか試験を繰り返してきました。結果的にはこれが不十分だったということになります。
以前は機械を組み合わせることで自動車や列車は作られていましたが、現在は電子制御するものが増えてコンピューターが搭載された上にそのうえで走るプログラムの規模が日増しに増えています。調べても判りませんでしたが、このE235系の車両でも相当規模のプログラムが動いているのではないかと思います。
そのプログラムは様々な事象をきっかけにして複雑なインタフェースで関係して動作するようになっていると思いますので、単に1万キロ程度の試運転だけではすべてのバグを洗い出すことは難しくなってきているのではないでしょうか。もちろん、列車に搭載する前の試験も含めれば相当数の試験をこなしてきていると思いますが、結果的に見れば不十分だったことになります。
今回は人命に影響するようなトラブルはありませんでしたが、まだどんな不具合が潜在しているか判りません。単に発生した不具合を直すだけではなく、全面的にプログラムの品質強化をしない限り、実運転には復帰できないのではないかと思います。自動車や電車などのプログラムでどうやって品質の高いプログラムを完成させるか、ソフトウエア工学面からの取り組みも必要なのではないかと思います。
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