店舗をカジュアル化する大塚家具の事業モデル改革の苦戦

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家具

 大塚家具ではお店に入店した時から客一組ずつに専門の販売員をつけて商品を説明する販売スタイルが長年取られてきました。

 IKEAやニトリといった安く家具を販売するお店は基本的にはお客さんが自分自身の目で品物を確認して選択することが基本になっていますが、大塚家具は家具は一生ものなので丁寧に説明して商品を選んでもらうというスタンスです。

 私自身、もう10年以上前のことだと思うのですが、有明で時間に余裕ができた際に、大塚家具のショールームに足を踏み入れてしまったことがあります。その時は特に何か家具が欲しいということもなかったですし、まさか専門の販売員がずっと同行するという事前知識もなかったので、入店そうそう、非常に面食らいました。受付にそのまま案内されて、手続きから始まったためです。そのまま「帰ります」とも言えずに、販売員さんと雑談をしながら店内を見学して帰りました。

 それ以来、大塚家具には足を踏み入れていません。比較的富裕層が、良い家具を欲しいときに立ち寄るお店だという理解で落ち着いています。

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ビジネスモデルの変革

 そんな大塚家具が社長交代劇を経て、現在、ビジネスモデルを変革しようとしています。会員制をやめて気軽に立ち寄ることができる店にしようとしています。都心にある新宿や銀座といった場所では来館者が増える効果が出ているとのことでした。

 ただ、以前の私のように、特に欲しい家具があるわけでもなく、単にお店の中の商品を見て回りたいだけという客が増えただけなのだとすれば、売上アップに結びつけるのは相当厳しいかもしれません。

 そういうふらっと立ち寄った人が、この商品を欲しい!と思わせるようにしなければいけないのですが、販売員が近づいていくと多分逆効果でしょう。お客さんは逃げるようにお店を出て行ってしまうと思います。

 IKEAやニトリのように雑貨や特売品を一緒に並べて、そこで商品を購入することの敷居の高さを取り払う作戦もあるかと思いますが、大塚家具のポシジョンが揺らいでしまいます。

 創業者が春日部に新たにオープンした匠大塚との差別化も必要になる中、今後の舵取りは難しくなりそうです。

【2024年9月25日追記】

株式会社大塚家具は消滅

 結局、大塚家具の業績は改善することなく、2019年にヤマダ電機と資本提携を結び、2021年にはヤマダ電機の完全子会社化される事態になりました。その後、2022年にはヤマダデンキに吸収合併される形となり、大塚家具としての法人はなくなりました。現在はヤマダデンキの大塚家具事業部としてブランドは展開されています。

 大塚家具はもしかすると家具を売る会社ではなく、個別に丁寧な積極をすることを通して価値を提供するところがコアコンピタンスだったのかもしれません。

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