MVNOでは日本で第一号の会社である日本通信が個人向けサービス(b-mobile)をU-NEXTに譲渡することを発表しました。もともと日本通信は1996年に創業した会社で法人向けのサービスを実施していました。2000年にはbモバイルで商標を登録、サービスの開始を行い、2001年8月にDDIポケットらPHSデータサービス回線のリセールに合意、12月からサービスを開始しています。
電話回線を敷設するのには莫大な投資が必要になり、新規参入の事業者がおいそれと始めることは不可能です。しかし、MVNOであれば、大手の第一種通信事業者から回線をまとめて借りて小分けにして法人や個人に転売する形になりますので、事業のリスクが少なくて済みます。一方で、借り手側から見れば回線を安く借りることができるのがメリットです。
さらには2008年にはNTTドコモのFOMA回線網でMVNO事業を合意、サービスを開始しました。2010年にはb-mobile SIMの販売を開始しています。最近ではポケモン専用SIMなども発売されて流行にも敏感な対応をしています。
このようにMVNOの黎明期から市場を開拓してきた日本通信が、これほど格安SIMの知名度があがり利用者が増えているこのタイミングで撤退することを決めたのはなぜでしょう。
それはMVNO事業者が561社まで増えてしまい価格競争も進んでしまったため事業の旨みが無くなってしまったためです。ただ、格安SIM自体は全体の4%にしかなっていないので、これからまだまだ普及することが期待できます。そこで、個人向け事業はU-NEXTに事業を集約しお互いが協業することを決定したようです。U-NEXTは映像や音楽の配信サービスを実施しているほか、リアル店舗も複数持っているので個人向けのサポートのインフラが整っています。今後はb-mobileのブランドがどうなるか等については発表されていません。
実は日本通信は直接、消費者にMVNOとして回線を販売する業務以外にMVNO業者向けにMVNE業者として回線を販売する業務も2009年から始めました。個人向けのサービスからは撤退するもののMVNE事業者としての業務は継続するのでしょう。
今回の日本通信の動きは格安SIM市場で企業が淘汰をされる始まりになるかもしれません。消費者にとってみれば、突然、自分が契約しているMVNO業者が倒産した場合、電話番号のMNPができるのかといった点も不安になります。日本通信は事業譲渡という道を選んでいるので消費者の利便性が損なわれることは無いと思われますが、やはり格安SIMの契約をするときには経営基盤のしっかりとしている会社を選んだほうが良さそうです。
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