東京都三鷹市は太宰治や山本有三といった作家が住んだ土地としても有名です。すでに太宰治については三鷹駅の近く、山本有三に関しては玉川上水沿いに記念施設があります。今度は太宰治と吉村昭の記念施設を都立井の頭恩賜公園の中に開設する方向で検討が進んでいるそうです。
2019年4月のオープンを目指し建設
今回、この計画が明らかになったのは12月の補正予算案に基本・実施設計費などとして3100万円を計上しました。2018年7月に建設工事の着工をして2019年4月のオープンを目指しています。太宰治は昭和14年9月から疎開期間を除いて昭和23年6月までの期間、三鷹市に住んでいました。また、吉村昭は昭和41年に新人文学賞の太宰治賞を受賞し、平成18年7月に亡くなるまで三鷹市の井の頭公園の近くに住んでいました。「ふぉん・しいほるとの娘」「冷い夏、熱い夏」など多くの作品を書き上げています。
平成30年で太宰治は没後70年になります。遺族から常設展示する施設ができるならば三鷹市に遺品や資料を寄贈したいという打診があったそうです。また吉村昭の遺族からも約30平方メートルの広さの書斎を三鷹市に寄贈、移築する提案があったとのことで、この機会に2つの施設を整備することを決めました。
場所は井の頭公園の西園、今の三鷹の森ジブリ美術館がある場所の近くに二つの施設を並べて整備する方針だそうです。今のジブリ美術館の南側は駐車場、北側はテニスコート、西側は吉祥寺通り、東側は広場という構成になっていますので、東側の広場に建てられることになるのでしょうか。井の頭恩賜公園は2017年が開園100周年となりますのでその記念事業と連携することも考えています。
なお、平成20年に開設された三鷹駅近くの太宰治文学サロンは新しくできた施設に集約・一体化します。今でも三鷹の森ジブリ美術館には日本国内のジブリファンのみならず、世界各国からのお客さんが連日、見学に来ています。これに加えて2つの施設が建設されれば、またさらに訪れる人が増えて賑やかになるのではないでしょうか。
【2017年10月8日追記】
周辺住民の反対運動
今日の噂の東京マガジンでこの件が特集されました。建設費に二億五千万円から三億円がかかりますが、実は吉祥寺駅が近いので三鷹市にはお金が落ちないこと、井の頭の貴重な自然が壊されてしまうこと、当時の都民の貴重な水源である玉川上水で入水自殺をした太宰治に記念館を作ることは同意できないことなどから周辺の住人が反対をしているのだそうです。
ジブリ美術館も三鷹市が税金から五千万円を毎年投入していることから、太宰治記念館についても同様の税金の無駄遣いになるのではないかということでした。
番組では三鷹市長の清原氏にも取材をしていました。
現時点でもジブリ美術館の利用者の中には三鷹駅からバスで来る人や玉川上水沿いの三鷹駅からの風の散歩道から歩いてくるお客さんも多くいます。にぎやかになればお店も増えて、またお客さんが増えるという好循環を生みますので、私自身は建設して貰った方が良いと思っています。
【2020/03/15追記】
三鷹市は建設計画を白紙撤回
三鷹市は平成31年に井の頭公園内に開設する予定であった太宰治記念文学館と吉村昭書斎の建築計画を白紙に戻しました。井の頭公園の豊かな自然の破壊につながるという意見を尊重した形になります。最初は玉川上水に近い万助橋に近いところへの建築を計画していましたが、次に西園のさらに南側に予定場所を移したものの、それでも反対する意見が多かったため、今後は別の場所への設置を検討することになります。
【2024年5月31日追記】
三鷹市吉村昭書斎は井の頭公園駅近くでオープン
吉村昭氏の資料館は井の頭公園駅の近くでオープンしました。こちらで紹介しています。
施設がバラバラの場所でオープンしても、三鷹市に来てくれる方々から見ると不便でならないので、本当はジブリ美術館の近く、井の頭恩賜公園西園の範囲で出来てくれたら本当に良かったと思います。
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