インテル社から不揮発性のメインメモリが発表されたそうです。その名も「Intel persistent memory」です。
現在のコンピュータではメインメモリにはDRAMが利用されています。DRAMは読み込みや書き込みのスピードが圧倒的に早いので、コンピュータの性能全体に大きく影響を与える部品になります。
揮発性のDRAMのデメリット
しかし、DRAMは電力の供給が失われると、中に入っていたデータは消えてしまいます。したがって、Windowsパソコンでも、スタンバイのときには微量の電力供給が行われ続け、DRAMの中のデータが失われないようにしていますし、完全に電力の供給が行われなくなる休止状態のときには、DRAMの内容がハードディスクに書き出された上で電源断となります。休止状態から復帰するときには、ハードディスクに書き込まれたメモリの内容をまたDRAMに書き戻してから起動されます。
インテルから今回発表された製品を利用すれば、パソコンの電源を切るときに、ハードディスクにメインメモリの内容を書き出す必要がなくなります。パソコンの電源を切ったり入れたりするときに必要な時間が短くてすむようになります。
また、従来のDRAMよりも容量あたりの単価が安くなるので、もっと大容量のメモリを搭載できるようになります。もしかすると、ハードディスクやSSD自体も必要なくなる日が来るのかもしれません。そうすれば、コンピュータの高速化に大きな進歩になります。
今まで、コンピュータのアーキテクチャーは、とても早いCPU、それなりに早いメインメモリ、極端に遅い二次記憶装置という前提で作られてきました。オペレーティングシステムもこれが前提になっています。しかし、インテルの新しいメモリを利用すれば、面白い実装ができるようになるのではないかと思います。
今後のコンピュータにとって大きな転機につながる製品の発表だと思います。
【2024年9月26日追記】
INTEL社が不揮発メモリの事業を終了
インテルは2022年第二四半期の決算報告において、「われわれはIntel Optaneメモリビジネスの終了に向けての動きを開始した」と発表しました。Optane DC persistent memoryを使用するためには、対応しているXeonプロセッサに加えて、OSやソフトウェアの書き換えが必要で、導入のハードル高かったことが普及を妨げたと報じられています。
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