働き方改革に対する考え方(優しさ競争で若者は育たない)

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 日経新聞を読んでいると、「優しさ競争で若者は育たない」とするエン・ジャパン会長、越智通勝氏の記事がありました。日本における働き方改革の進め方に違和感を持っているという内容です。過労死をするような働き方をしてはいけないのは当然のことであるが、労働時間の削減ばかりが注目されて、最も成長しなければいけない新入社員や若手にまで定時に帰れと言っていては成長機会を奪ってしまうのはないかという内容です。

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会社で遅くまで働くことが本当に個人や国の成長につながるか

 これは納得させられる主張ではあるのですが、深く考えていくと、会社に残って遅くまで仕事をすることが本当にその人の成長や社会の成長に寄与することになるのかということに違和感を持ってきました。社会の変化、技術の変革が比較的緩やかだった時代は、会社に残ってその技術を学びつくしていけば、またその技術を使って次の仕事をこなしていくことが出来たと思います。

 例えば、プログラムで言えば、COBOLを習得すればかなりの期間にわたって食べていける時代があったと思います。しかし、今はJavaを知っているだけでは、そのプロジェクトが終わった後の職探しで選択肢が狭まってしまいます。

 もしも、Java以外のスキルを身につけたければ、職場で遅くまで残ってJavaの専門性を磨くだけではなく、自己啓発等によて新たなスキルを磨く必要が出てきます。

 また、技術の変化は表層的なところが大きく変化する傾向がありますが、その考え方や理念といった部分は不変、または大きく変わらないことが多いです。

 会社で遅くまで仕事をしていると、表層的な技術の部分に触れる機会は増えるのですが、その技術の考え方や理念といったところまで掘り下げようとすると、会社ではなく研修や自己啓発で磨いていかなければいけません。

 現在、裁量労働制というのは、固定金額で働かせ放題になる悪しき制度ではないかという議論があります。これは会社側の意識の問題で、このような働かせ方をすればその会社は一時的には利益が出るかもしれませんが、社員を育成することができず、経営が傾く形になります。

 本来は、みなし時間外も含めて固定金額を支給し、社員には所定の成果を短時間で出すことができるよう生産性が上がる仕組みを社員と会社が一体となって追及していかなければいけません。

 今までより早く帰ることができるようになった社員は、その時間を自己啓発、人脈づくり、介護等に充てていく形になります。これらの取り組みは自分への投資となり、その人の価値が上がり、試行錯誤が減ることで更に効率が良くなることが期待できます。

7つの習慣(時間管理のマトリックス)

 スティーブン・リチャーズ・コヴィーが書いた「7つの習慣」という書籍は自己啓発本の中でも有名ですが、この中に時間管理のマトリックスという考え方があります。とかく、「緊急で重要な案件」に時間を割かれがちだけれども、本当は「緊急ではなく重要な案件」に時間を使うことが大切だと解説しています。こちらの説明が判りやすいのでリンクをはっておきます。

イントロダクション:1 重要領域に生きる|フランクリン・プランナー
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 この緊急でなく重要な案件は会社でできないことが多く含まれています。

第四次産業革命を迎える中で

 また、経済産業省をはじめ、日本の経済を更に発展させていくためには、第四次産業革命を成功させなければいけないと考えています。まさに、IoTやAIで世界にリードしていくためにはどうすれば良いかという話しになります。

 以前のように自前主義で自社だけで仕事が成立していたときは、会社の中で切磋琢磨することで、良いものを消費者に提供できていましたが、これからはそれぞれの得意技をもった会社が協業して市場を創造していかなければ、世界に勝つことはできません。

 これは人脈がものを言う形になります。会社の中で遅くまで働くことでは人脈を広げることは難しくなってきます。

 働き方改革に関して単に欧州のマネをしてはいけないのではないか?という問いに対しては、確かに疑問を持っていくことが大事だと思うのですが、現に日本が創造性や改革的な仕事をする分野で遅れをとっていることは事実ですので、良いところはマネしなければいけない部分もあるはずです。

 「俺は若いときは会社で遅くまで働いてきたからこそ、今までやってこれたんだ」という思いは少し横に置いて、この激しい環境の変化の中で、どのような働き方をするのが一番良いのか、議論を重ねていくにはちょうど良いタイミングなのだと思います。

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