1月31日に日本企業が米国の伝統的大企業を買収する大きな報道がありました。内容は日本の富士フィルムホールディングスが米ゼロックスを買収することです。
買収の段取り
最初にゼロックスが現在はフィルムホールディングス配下の富士ゼロックスを完全子会社化した上で、そのうえでゼロックスの株式を富士フィルムホールディングスが取得するとしています。具体的にはゼロックスが第三者割当増資を実施して、それを富士フィルムホールディングスが約6700億円で引き受ける形になるとのことです。これで富士フィルムホールディングスがゼロックスの発行済み株式の50.1%を取得する形になります。
ニューヨークの上場は維持
なお、ゼロックスはニューヨーク証券取引所でそのまま上場を続けて、社名は富士ゼロックスに変更することもあわせて説明されました。
1月10日のロイターの報道によると、ゼロックスの資本構成が変わる可能性があるが完全買収は検討されていないとされていました。この時点から見ると、外部に大きな変化になります。
構造改革による利益改善
また、富士ゼロックスは国内外で従業員の二割にあたる1万人を削減することもあわせて発表しました。米国のゼロックスと重複している機能を削ることで利益の改善を図るとしています。
現在、企業ではペーパーレス化が進んでいるので、徐々にコピー機の需要に影響が出ています。日刊工業新聞の社説によれば、他社は複写機の不振をパソコンのプリンターで補う等の戦略をとっていましたが、ゼロックスは遅れをとっていたという説明もありました。このような産業の構造が変わる中でゼロックス社は経営に苦しむ状況になっており、売上も減少傾向にありました。
これは、写真フィルムの需要が急激に減少してデジタルカメラに移り変わっていった状況と似ているかもしれません。このフィルムの社会の構造変化を企業の構造改革で乗り越えていった富士フィルムであれば、事業を軌道にのせることができるのかもしれません。
ただ、写真フィルムの立て直しのときと違って、今まで別だった米国の会社の立て直しということで、大きな試練があるのかもしれません。富士フィルムの株価は1月31日に大きく落ちたと、2月1日にはまた値を戻しています。
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