日本のアマゾンが取引メーカーに対して協力金を要請しているという報道が、日経やITmedia等でありました。従来はAmazonが取り扱う商品を各業者から卸してもらってネット通販で販売するか、マーケットプレイスで手数料をとってお店などが商品を販売するかの二通りだったと思うのですが、前者のAmazon自身が販売する商品で、取引メーカーから協力金を徴収するということになります。
日経の記事によれば、協力金を要請するのはAmazonが商品を仕入れて販売する取引先になります。食料や日用品のメーカーからは2%、他のメーカーからは1%から5%を要請するとしています。この制度は「ベーススコープ」と呼ばれており、すでに米国のAmazonでは導入済みとなっているそうです。
Amazonではヤマト運輸の値上げ交渉に応じたり、Amazonプライムの料金を低めに抑えたり、システムの維持・更新に費用がかかったりで、そのコストを賄うための要請かと思います。すでに、2017年の11月から日本でも要請を始めたようです。
Amazonが日本で営業を始めた当時であれば、各社にこんな要請をしたら見向きもされなかったものと思いますが、現在では各メーカーにとってはAmazonで販売される商品の金額が無視できない状況になってきていると思われますので、今回の要請に対してどう答えるかは頭の痛いところでしょう。優越的地位の乱用に当たらないかという指摘も出ているようです。もしも本制度に従わない仕入れ先は取引停止にする等の強硬な措置をAmazonが取れば優越的地位の乱用にあたるのではないかとこちらのサイトでは解説されていました。
しかし、協力金の要請を受けるか否かを仕入れ先の裁量に任せると、協力金を払う会社と払わない会社が混在することになり、Amazonと取引することが非常に不透明な状況になるように思います。今後もAmazonの対応がどうなるかが気になります。
楽天市場では仮想ショッピングモールにお店を集めて、そのお店から出店料を徴収する形をとっています。ショッピングモールに出店するか否かはお店側の判断なので、ちょっとAmazonの今回の協力金とは位置づけが異なります。リアルな社会でも、ショッピングモールにお店を出店しようとしたら出店料がかかりますので、違和感はまったくありません。
2017年にAmazonは楽天市場を販売総額で追い抜いたのではないかという報道もありますが、楽天市場にも頑張ってほしいところです。
【2018/03/15追記】
公正取引委員会に動きがありました。今回話題となっていた取引先に対する不当な協力金を負担させた疑いがあるとして、独占禁止法違反(優越的地位の乱用 )容疑で立入検査を実施したようです。お役所仕事は遅いイメージがありましたが、今回はネットで話題になってからの動きが非常に早かったので驚きました。今回の立入検査を受けて、Amazonが協力金の扱いについてどう対応するのかが気になるところです。もしも協力金をAmazonが受け取れないことになった場合、プライム会員の年会費の値上げや配送料の値上げといったことになるのかもしれません。その場合、日本では楽天市場やYahoo!ショッピングといった別の選択肢があるので、Amazonの競争力は失われる可能性があります。
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