ダイアモンド誌の公式サイトにAmazonプライムに関する興味深い記事がありました。
従来はAmazonプライムの会員数は非公表だったのですが、全世界で1億人に達したことをAmazonは今年の4月に公表しました。ジェフベソスCEOは取材に対して、1億人という数字よりも顧客に届けている価値が重要だと述べています。
ショッピングモールで年会費を徴収するという手法は、以前は日本ではあまり見られませんでしたが、現在では例えばコストコが米国で実施している会員制を日本に持ち込み年会費を徴収していたり、Yahoo!でもプレミアムという会費制のサービスをはじめたり、楽天市場でも楽天プレミアムという形で年会費を払えば送料の一部がポイントで還元されるサービスを始めています。
やはり、毎年、一定額の会費がたくさんの会員から徴収できる仕組みは、サービス提供元にとっては企業経営が安定化するので魅力的な仕組みなのでしょう。
Amazonでもプライム会員は最初は買い物した商品の送料が無料になったりお急ぎ便が無料になったりといった買い物と連動したメリットの提供が主でした。しかし、ジェフベソス氏が述べたとおり、現在ではプライムビデオやプライムミュージックで公開されている作品を鑑賞し放題になるといったデジタルエンターテイメントの分野でもメリットを提供しています。
また、日本でプライム会員の年会費が諸外国よりも大幅に安く設定されていることに対しても、ジェフベソス氏は回答しています。この記者の考えと同じように私も日本では楽天やYahoo!ショッピングといったショッピングモールの大御所がいるので、Amazonは日本でプライムの年会費を安く抑えているのではないかと思っていたのですが、「競合に対して労力や時間を費やすことはしない」と明確に否定しています。年会費の何倍ものメリットを会員に提供することだけに注力しているということなのでしょう。
徐々に「モノ」を購入して所有するという従来の仕組みから、年会費を払えばサービスの提供を受けられる、いわゆるサブスクリプション方式に時代が変化しています。そんな時代の流れをうまく活用してAmazonは伸びていると思いますが、プライム会員のメリットも今となっては大きく変化することもなくなってきたので、曲がり角は徐々に近づいているようにも思います。
また、ジェフベゾス氏は社内の会議で「いつかアマゾンは潰れる」という驚きの発言をしていたことが報道されていました。
確かに未来永劫に続く会社というのはほんの一握りで、多くの会社は時代の変遷とともに無くなったり、業態が大きく変わったり、規模が大きく縮小されたりしています。次に現れる時代の変化に先駆け、Amazonがどんな戦略を仕掛けてくるのか、とても気になるところです。
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