JR東日本が新幹線の混雑状況を予測する実証実験を大宮駅で始めたという記事が日経新聞に小さく載っていました。東京都港区のメトロエンジンという会社の需要予測技術を活用し、2019年の2月から5月までの大宮と仙台の間の新幹線やまびこ号の混雑予想をモニターで表示するそうです。
このモニターには毎日1時間ずつ混雑状況を5つに色分けして、一目でどの日のどの時間帯が混雑しているのかが判るようになっており、混雑している時間帯は赤系の色、空いている時間帯は青系の色で区別されます。週末は赤系の色が目立ち、週初めの日中隊は青系の色が目立つ傾向にあるようです。
混雑を予測するためのパラメータはおよそ20種類あり、過去の乗車実績数、新幹線到着駅の宿泊施設の稼働率、駅構内の利用客数などを使って算出しています。
気になるのは、JR東日本がこの混雑予測になぜ力を入れているかということですが、混雑している時間帯は新幹線料金を高くして、逆に空いている時間帯は新幹線料金を安くする、いわゆる「ダイナミックプライシング」の導入を検討しているためです。
ダイナミックプライシングでは宿泊業界ではアパホテルが導入しており、繁忙時期と閑散時期との価格差は同じホテル、同じ部屋であっても、かなりの違いがあります。公式サイトを見るとまさにJR東日本が実証実験を共に実施するメトロエンジンはホテル業界にダイナミックプライシングを導入してきた会社のようです。
新幹線料金にダイナミックプライシングが導入されることについては賛否いろいろな意見があると思いますが、導入した方が良いのではないかと私自身は思います。やはり、混雑している時期は本当に急を要す人が高いお金を払ってでも席を確保して移動できた方が良いと思いますし、逆に空いている時期は今よりも安い価格で移動できると、お盆や年末年始といった時期に人の移動が集中しなくて済むようになっていきます。
すでに、パッケージ旅行などは同じプランであっても、繁忙時期と閑散時期の価格差はかなり大きくなっており、利用者の方も慣れてきていますので、JR東日本が導入したとしても受け入れられる方向につながるのではないでしょうか。
今後は朝の通勤時間帯の通勤電車にもダイナミックプライシングが導入されることによって、時差通勤や在宅勤務などの働き方の変革にもつながっていくのではないかと思います。
しかし、公共交通機関としての使命がありますので、JR東日本にはダイナミックプライシング導入に伴って、実質的な値上げにはつながらないようにしてほしいと思います。
【2021/04/21追記】
国土交通省が検討を開始
ダイナミックプライシングを鉄道運賃に導入することについて国土交通省が検討を開始したことが報道されていました。今後は特に通勤時間帯の価格を高くして日中は安くすることで旅客を平準化して、通勤時間帯に多く配置されている車両や人員を減らしてコストカットにつなげたい考えです。
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