12月6日(木曜日)の13時39分ごろから、ソフトバンクおよびY!mobileの通信回線が一部地域で利用できなくなる障害が発生しました。固定電話サービスの「おうちのでんわ」も影響を受けています。結局、この障害は同日の午後6時ごろまで続き、以降、順次回復しました。4時間以上にも及んで通信が回復しなかったため、ニュースや朝の情報番組などでも大きく取り上げられました。
ソフトバンクではこちらでプレスリリースを公表しています。
原因はLTEに関わる交換機の不具合とされています。
その後の報道を見ていると、この交換機はスウェーデンの通信機器大手であるエリクソン製のもので、エリクソンの発表によれば「ソフトウェアの証明書の期限が切れたこと」が原因だとしています。エリクソンの通信機器を使う海外11ヶ国で同様の通信障害が発生したそうです。
後日、もう少し詳しい原因が発表されました。MME(Mobility Management Entity)に関連するソフトの証明書の期限が切れたことが原因です。MMEは聞きなれない言葉ですが、「ネットワークの頭脳」とも言える端末の認証などを司る機能だそうです。
ソフトバンクは当該ソフトを旧バージョンに切り戻したことでネットワークが回復しました。
通信回線の障害は電話やデータ通信ができない状態になりますが、最近はインターネットを前提としたサービスが充実しているので、通信ができなくなると、途端に不便になってしまいます。
テレビで報道を見ていると、
- コンサートの入場時に本人確認のためにQRコードを表示させなければいけないところ、ソフトバンクユーザーはQRコードを表示できないために急遽、QRコード確認を省略した
- 大ざっぱに渋谷で待ち合わせた人が連絡を取り合えなかったがために、なかなか会うことができなかった
- スマホの地図が表示できないので現地にたどり着けない
- 佐川急便でドライバーが再配達の依頼を受けられない
などの影響が紹介されていました。
すでに、生活のインフラとしてインターネットが前提となっているので、通信回線の途絶がいかに大きな影響をもたらすか、よく判る状況だったと思います、
通常、ハードウェアを冗長化するときには、同じメーカーの同じ機種を利用する場合が多いと思いますが、今回の事象であれば、冗長化してもサービスを継続することができません。交換機のようなミッションクリティカルなシステムでは、別の会社の別のアーキテクチャを使っている製品通しを組み合わせて冗長化するような工夫が必要になるのかもしれません。
【2019/08/19追記】
ソフトバンクは2018年12月に発生した大規模な通信障害に関して、トラブルの原因となったスウェーデンのエリクソン社への損害賠償請求を見送ったことが報じられていました。
米国主導で国防上の理由からファーウェイが市場から排除される方向にある中で、次世代通信規格の5G向けには、エリクソン社との関係性を維持する必要があったためと報じられています。
コメント