最近、中国の通信機器大手、HUAWEI(ファーウェイ)に関する報道が非常に増えてきました。12月に入ってから伝わってきたのは、カナダでファーウェイの副会長兼最高財務責任者が逮捕されたという報道です。容疑は2009年から2014年にかけて実質的な傘下にあるスカイコムという会社を通してイランと取引を実施したことで、米国ニューヨークの裁判所では既に8月には逮捕状を出していたとのことです。
さらに12月10日になると、首相官邸で開催されたサイバーセキュリティ対策推進会議で、「情報通信機器の政府調達の際にサイバー攻撃など安全保障上のリスクを低減させる運用を申し合わせた」という報道がありました。安部首相は特定の企業や機器を排除する目的ではないと説明していますが、ファーウェイやZTE社の製品を政府調達から排除することが狙いではないかと朝日新聞などでは報道されています。
政府調達では2019年4月以降に調達する機器から新しい指針が適用されます。対象はパソコンやサーバー、ルーター、スイッチ、スマホ、プリンター、テレビ会議システム、基本ソフト(OS)、マウス、USBメモリ、システム開発・運用・保守などで、下記の5つの観点で調達が適切かどうか判断されます。
・国家安全保障や治安関係の業務を実施する
・機密性の高い情報を取り扱う
・個人情報を大量に扱う
・基幹・基盤システム
・運営経費がきわめて大きい
ファーウェイは1987年に創業した会社で現在では世界170ヶ国で事業を展開、従業員数は約18万人、売上高が10兆円を超える通信機器会社です。米国では2018年8月にファーウェイとZTE社の製品を政府機関と関連企業が利用することを禁じる法案が成立しました。オーストラリアでは同時期に政府が国内通信事業者に対してファーウェイとZTEの5G設備を導入することを禁止しました。
すでに2018年7月から9月期のスマホの出荷台数シェアではアップルを抜かして、サムスン電子につぐ二位になっています。
日本市場でも庶民の目から見ると、HUAWEIのブランドはかなり浸透してきていて、格安スマホとしては使いやすい端末が安価に販売されているので人気がありました。今回の政府の決定はあくまでも政府調達に関する取り決めではありますが、店舗での個人見受けの取り扱いがどのようになるのか気になるところです。
【2018/12/13追記】
日経新聞で情報漏洩防止のために14分野に対して政府が要請を実施したことが報道されていました。
情報漏洩や機能停止の懸念がある情報通信機器を調達しないようにするという要請であり具体的な基準がないので、これを各社がどう解釈するのかが気になるところです。
対象の領域は、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、行政、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油など多岐に渡ります。今回の要請により、政府調達だけではなく、民間のインフラ分野にまでリスク排除の動きが進んだことになります。
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