DeNAとSOMPOがカーシェア事業を手掛ける合弁会社を立ち上げることが報道されていました。その一つが「0円マイカー」を手がける「DeNA SOMPO Mobility」です。
このサービスを利用する人が駐車場を提供することにより、月に一定回数は無料で車を利用できるようになるというサービスです。
個人間カーシェアリング
今までも自宅に置いてあるマイカーをほかの人に貸し出す個人間のカーシェアリングは行われています。例えば、DeNAが3年間運営してきたAnycaというプラットフォームでは、自家用車を使わない時間帯にほかの人に貸したいと思っている人が車を登録して、クルマを借りてドライブしたいと思っている人が場所や車種から貸し手を選ぶような仕組みを提供しています。これにより、クルマを貸す側は維持費を低減することができますし、クルマを借りる人は一般的なカーシェアリングやレンタカーよりも多彩な車種の中から車を借りることができるチャンスが生まれます。
DeNAの試算によれば自家用車の年間稼働率はたかだか3%程度しかないそうです。残りの97%を遊ばせておくだけではもったいないという考え方から生まれたサービスです。
既にAnycaでは会員数が20万人以上、登録されている車両が7000台以上にもなっているプラットフォームです。実際に私の自宅の周りではどんな車が登録されているのかを調べてみると、20台近くがヒットしました。個人のクルマということもあって、車種はやはりバラエティに富んでいて、外車も含めて気になる車が多くありました。
個人間カーシェアリングの起爆剤
自分が持っているクルマをこのAnycaに登録しようとは、あまり思えないのも事実です。自分の家の駐車場にほかの人が出入りするのも不安ですし、クルマの調子が悪くなってしまったり、どこかにクルマがぶつかってしまったりしてしまったときに、貸し手と借り手の間でトラブルになることも不安です。
こんな不安を抱えて、自分のクルマを人に貸すくらいであれば、自分のクルマは処分してTimesのカーシェアリングを利用した方がまだマシだとおもいます。
今回のゼロ円マイカーでは、この漠然とした「不安」を損保ジャパン日本興亜と組むことで軽減する仕組みを取り入れていることが大きな武器になっているとしています。具体的にはAnycaで使用した時間に応じて、クルマを提供したオーナーの自動車保険を割り引くとか、貸した車が返ってこないようなことがあった場合には、その損失を補填するといった保険のアイディアがあるそうです。
ただ、自分に置き換えて考えてみると、月々に支払っている自動車保険料は2000円あまりだけなので、割引の効果はかなり薄いですし、貸した車が返ってこないといった大きなトラブルに保険でカバーされるのは嬉しいですが、傷をつけた付けないといった小さなトラブルの対応はやっぱり面倒です。どちらかというと、このような小さなトラブルに対する不安に対してもカバーできる仕組みが欲しいところです。
0円マイカーでの取組み
0円マイカーの仕組みは、クルマを保有するのはあくまでもAnycaとなります。Anycaはレンタカーの登録とカーシェアで車を受け渡す際の機器の取り付けを行います。そして、駐車場を提供した人は一定回数は無料で使用できるという形になります。正確にはマイカーというよりも、カーシェアリング屋のクルマが自宅の駐車場に置いてあるイメージになります。既に自家用車を持っている人でも、その車の使用者を「DeNA SOMPO Mobility」に変更すれば、このサービスを利用することができるようになります。具体的に駐車場を貸した人が何回まで無料でできるようにするか等、サービスの詳細についてはこれから詰めていくこととなっています。
Timesのカーシェアリングでは、Timesが持っている駐車場が車のステーションとして活用できたので、Timesは大きく事業を拡大することができました。しかし、全国に駐車場を持たない会社にとっては、カーシェアリング事業を立ち上げるのは難しくなってきます。DeNAは各家庭にある駐車スペースをステーションにできないかという発想で取り組んだのでしょう。
どの程度、お得なのか
まだ、0円マイカーに関してはサービスの詳細が煮詰まっていないので具体的なシミュレーションをすることはできませんが、Anycaに関しては所有しているクルマと地域を指定すると、1ヵ月に受け取ることができる金額の目安が表示されるシミュレータが付いていました。
このシミュレータを使ってみると、1ヵ月6317円という内容でした。やはり東京都23区内など需要が大きい地域になったり、クルマが高級車で予約を取りやすいようなクルマであると、この金額が跳ね上がっていくようになっています。
例えば、「AUDI A5 CABRIOLET 2018」を「東京都千代田区」でカーシェアした場合の1か月の受取金額の目安は「\35,180」となりました。
ここから推測すると、0円マイカーのサービスを使ったとしても、自分が無料で車を利用できるのは、月に1回か2回という制限になってしまいそうな気がします。
今後、具体的なサービスの内容が決まって発表されるのを待ちたいと思います。
コメント