最近、街の本屋さんが次々に店を閉めています。1990年代末には2万3000店あった全国の書店は2018年では1万2000店まで減ってしまいました。20年あまりで半減したことになります。
コンビニの雑誌売り場面積や雑誌の種類の減少
コンビニエンスストアの雑誌コーナー一つ見ても、昔とはずいぶん様変わりしてしまいました。以前であればコンビニの防犯の意味も含めて、外に面した窓がわに雑誌が所狭しと並べられていて、立ち読みをしていた人がいました。一部のコンビニでは雑誌のコーナーを広くとっているところもありますが、雑誌コーナーを狭くしてしまったコンビニも最近ではよく見るようになりました。
雑誌の種類で言うと、特にコンピュータ系の雑誌は種類が大幅に減ったと思います。コンピュータ系の雑誌を買うような人たちは、インターネットを駆使するような人も多いわけで、雑誌をあえて買わなくても、インターネットで新鮮で濃い情報を容易に入手できるようになったのだと思います。
そのほかの雑誌もコンビニで扱っている雑誌は種類が減ったように感じます。最近では月々数百円払うだけで、何十種類もの雑誌を読み放題になるサブスクリプションサービスも流行っています。毎月、コンビニで数百円かけて決まった雑誌を買うのであれば、電子コンテンツを呼んだほうがずっと安上がりという時代になってしまいました。
資源ごみの収集日は昔であればうず高く積み上げられた雑誌の束を見ることがありましたが、最近では見かけることもなくなりました。ごみの排出量削減という意味でも電子化は効果があるかもしれません。
個人経営の書店
東洋経済の記事を読んでいて初めて知ったのですが、小型書店は「売れる本」を発注することに規制がかかる仕組みがあるそうです。「ランク配本」と呼ばれている仕組みで、店舗の規模によって自動的にランクが決められて各書店に配本される冊数が決まる制度なのだそうです。20冊の予約があったとしても10冊と決められていれば10冊しか配本されないという、とても変な制度です。紙で印刷するような書籍は初版で印刷できる冊数にも限りがあるので、売れることが判っていても、このような制度が設けられたのでしょう。
逆に書籍の取次店(問屋に相当)が、書店が注文していないにもかかわらず本を勝手に送る「見計らい本」という制度もあるそうです。売れ残った本は回収してくれる仕組みがあること、そしてどんなに良い本でも知名度が低い本は問屋に注文が入ることもなく、書店で人の目に触れることもなくなってしまうことから、このような制度ができたのでしょう。
小型書店にとってみれば、展示できる書籍の量は大きく限られていますので、このような書籍が送られてくることは厳しいことだと思います。ほしい本は届かずに、必要としない本が届くという、小型の書店にとってみれば信じられないような仕組みになっています。
単にAmazonなどのネット通販が台頭したから売り上げが減少して小型書店が閉店するだけではなく、古くからのランク配本や見計らい本といった制度が小型書店の経営を苦しめているということも知り、とても驚きました。
【2019/07/29追記】
エコノミストを読んでいると、書店に関する面白いデータが掲載されていました。全国の書店数は減少の一途をたどっていますが、1店舗あたりの売り場平均面積は増えているのだそうです。やはり、小型の個人経営のお店が減って大規模書店の割合が増えているということなのでしょう。しかし、1店舗あたりの年間販売額はかなりの勢いで下がっているので、書店経営を続けるのは大変なことだと思います。
【2019/10/28追記】
入場料を徴収する書店
六本木の青やブックセンターが2018年6月に閉店しました。その跡地にできたのが、文喫(ぶんきつ)という書店です。店の入口で1500円プラス消費税を支払うとバッジが渡されて入店できます。これで営業時間内であれば滞在することができます。営業時間は朝9時から夜11時までとなっています。
店内は青山ブックセンターの時とは違い、空間的にゆったりとしていて、カフェのような雰囲気だと言います。ソファーやテーブル、そしてフローリングの場所もあり、くつろぎながら店内にある三万冊の本の中から読むことができます。館内にはWi-Fiも飛んでいるのでパソコン作業もできるようになっています。
館内では珈琲を無料で飲むことができます。さらに別途の支払いで食事ができる場所もあります。
読んで気に入った本は買うこともできますし、そのまま書店に返すこともできます。返すときは本を持ってきた書棚に戻す必要はなく、返本台に返しておけば大丈夫です。
そんな文喫が現在はずいぶん人気でお店の入館待ちが発生するほど混んでいる日もあるそうです。
単なる書店では経営が厳しいですが、ネット通販では実現できないことと組み合わせることで成功した一例だと思いました。
【2024年9月27日追記】
出版科学研究所のサイトにて、2003年から2023年までの20年間の書店の総店舗数の推移が公開されていました。20年間で半減していることが判ります。
年度 | 総店舗数 | 平均坪数 |
---|---|---|
2003 | 20,880 | 80.3 |
2004 | 19,920 | 85.7 |
2005 | 18,608 | 92.1 |
2006 | 17,911 | 98.4 |
2007 | 17,327 | 104.7 |
2008 | 17,383 | 111.0 |
2009 | 17,187 | 112.4 |
2010 | 16,966 | 113.7 |
2011 | 16,722 | 116.3 |
2012 | 16,371 | 107.9 |
2013 | 15,602 | 112.7 |
2014 | 14,658 | 117.7 |
2015 | 14,468 | 120.2 |
2016 | 14,098 | 123.2 |
2017 | 13,576 | 124.9 |
2018 | 13,085 | 128.2 |
2019 | 12,653 | 129.5 |
2020 | 12,343 | 129.5 |
2021 | 11,952 | 131.4 |
2022 | 11,495 | 132.7 |
2023 | 10,918 | 132.9 |
一店舗あたりの平均坪数が年を追うごとに大きくなっていることもこの統計数値の特徴です。明らかに個人経営の小規模店舗の数が減って、大型店舗が比較的残っていることに伴う影響なのだと思います。
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