5月28日に米国アップル社はiPod Touchの新製品を発表しました。iPodはiPhoneが登場するまでは携帯音楽プレーヤーとして注目されていましたが、iPhoneをはじめとするスマートフォンが普及してからは、スマホに音楽再生機能が内包されていることもあり、注目されることが少なくなっていました。iPodの販売台数はスマホブームに火が付く前の2008年がピークで5482万台でした。
新型iPodは四年ぶり
今回の新型iPodの発表については、実に前回の新製品から4年ぶりになるようです。今回のiPodでは高性能化(CPUにはA10チップセット搭載)しただけではなく、現実の光景に仮想の物体を映し出すAR機能に対応したことです。iPodでは音楽を聴くというイメージが強いですが、AR機能を充実させたということは、Apple社としてはゲームに力を入れていきたいという意思の表れなのでしょう。
拡張現実強化
公式サイトを見ると、バーチャルなモンスターを近所の公園に侵入させたり、デスクの上で友だちとロボットバトルを楽しむこともできると紹介しています。高性能化したとは言え、A10はiPhone7に搭載されていたCPUではあるので、拡張現実を味わうためには少し不安も残るCPUです。もしもARを駆使したゲームを頻繁に使うような用途の場合は、どの程度、快適に動作するか、実際に店頭等でチェックが必要かもしれません。
ストレージ容量
日本で発売されるモデルは32GBのストレージを内蔵しているものが2万1800円、256GBのストレージを内蔵しているものが4万3800円となります。ストレージの価格はかなり下がっているのに、32GBモデルと256GBモデルでここまでの価格差を設けるのは今一つ理解に苦しむところです。今や256GB程度のマイクロSDメモリカードであれば3000円ほどで購入できてしまいます。iPodはSDメモリカード等でストレージを増設することができませんので、音楽データをたくさん蓄えて持ち歩きたいときには、どしても投資額が膨らんでしまいます。デザイン的にマイクロSDカードスロットを付けたくないということもあるのかもしれないですが、消費者からみるとSDメモリカードを使うことができたほうが柔軟性、拡張性が増すと思います。
Apple Musicに加入すればストレージにデータをたくさん入れる必要はありませんが、音楽を聴く環境ではインターネット通信ができる状況にしておく必要があります。iPod TouchにはWiFiによる通信機能が内蔵されているものの、やはりiPhoneのようにモバイルデータ通信に対応していないと、どこでも聞くという用途には利用しにくいかと思います。
iPodは誰が買う?
このiPod Touchをどんな人が購入するかを考えてみると、iPhoneを日常的に利用している人は対象外ということになるでしょう。(iPhoneのバッテリーを節約したいため、日常的にはiPod Tochを併用するという使い方はあるかもしれません)
まだスマホを持っていない子どもや、Androidスマホを中心に使っている人が購入層になるのかもしれません。Apple社の業績を急拡大させる主力商品になるということは無いと思いますが、どんな形で売れていくのか気になります。
調べてみると、例えば飲食店の店員の注文取り端末などにiPodは活躍することもあるそうです。確かにiOS端末としては一番安い端末となるので、Wi-Fiのみが使えれば良いという業務用途では確かに便利に使えそうです。
【2019/06/19追記】
新型とは言い難い
最近になって、このiPodについて厳しい意見が目立つようになってきました。このiPodに搭載されているCPUが2016年に導入されていたものという、お古のイメージがあるためです。やはり、すでにiPodの利用者の大部分がiPhoneに流れてしまった以上、iPodは収益重視の姿勢を貫かなくてはいけない状況なのかもしれません。
現行機種のiPod、残念ながら秋に公開されるiOS13には対応していません。現行機種なのに最新iOSに対応していないというということを避けるために、今回の新しいiPodが発表されたのではないかという記事もありました。
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