産経新聞を読んでいると、富士山登山鉄道の構想が紹介されていました。富士山を鉄道で登る構想は戦前からあったそうです。昭和38年には富士急行から富士山の五合目から山頂まで地下ケーブルカー(富士山地下鋼索鉄道)を建設する計画を国に申請し、その後、1974年には取り下げた経緯もありました。
また、もっと最近の平成27年には富士急行などの会社で作る検討会が富士河口湖町と富士山五合目をむすぶ富士スバルラインに線路を敷く案を提言したこともありましたが、霊峰の開発に対する反対論がありました。
富士スバルライン
現在、観光ピークの7月および8月は富士スバルラインはマイカー規制によりバスやタクシーしか入ることができません。このような規制を行っていても1日あたりで300台を超すシャトルバスや観光バスが五合目に押し寄せるそうです。
逆にオフシーズンの1月から3月はスバルラインが凍結するために5合目まで行くことができる日が限られます。冬は空気が澄んでいるので遠くまで見渡すことができて観光に活かすことが本来はできるのですが、今は活かすことができていません。そんなことから登山鉄道が必要ではないかという議論につながっています。
登山鉄道の可能性
今から登山鉄道を作るというのは、その投資額や運転保守費用を賄うことができるのかという点がとても気になります。特に五合目までであれば、車やバス手軽に行くことができてしまいます。
車やバスでは環境汚染が心配ということだあれば、電気自動車を準備する方式もあるでしょう。
収支が厳しい地方ローカル線は廃止されて、代行のバスに切り替わって行きました。このことからも、鉄道に必要な価格とバスの運行にかかる価格では圧倒的に後者の方が有利なことがわかります。
今一度、鉄道を敷設するのが良いのか、ほかのメンテナンスコストが安くて済む代替手段がないのか、よく検討した方が良いのではないかと思います。
【2021/02/09追記】
富士登山鉄道構想の最終案が可決
富士山の麓から五合目までを鉄道で結ぶ富士山登山鉄道構想を議論する検討会が実施されて構想の最終案が原案通りに可決されました。
この案では有料道路の富士スバルラインに次世代型路面電車(LRT)が優位性が高いとしています。往復運賃を一万円とした場合は300万人の利用が見込まれるということですが、運賃がなんとなく高すぎるような気もします。ただ、海外から日本に来る観光客はツアーの中にセットされれば利用しやすいのかもしれません。
事業を誰が運営するか、鉄道を安全に走らせるための技術的な課題などもあり、今後がどうなるのか気になるニュースでした。
【2022/06/28追記】
地元観光連盟が反対
地元の富士五湖観光連盟会長が「限られた裕福な方々だけが富士山に行くことができ、富士山•富士五湖観光にとって悪い方向に向かっている」と反対の立場を表明しました。
富士スバルラインを拡幅せずに現在の道路上に線路を敷設する現在の案です。富士スバルラインが直結する富士山の吉田ルート登山道は年間に506万人の登山客がいますが、この利用者の多くが往復一万円の費用を払って本当に登山電車を使うのかという疑問を呈している記事もありました。(現在の富士山駅と河口湖駅から富士山五号目までのバス運賃は往復2300円のため)
なかなか、登山電車実現に向けての道は険しそうです。
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