adidasの商標権が「独自性が欠ける」ことを理由にEUで無効判決

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 「EUの裁判所がアディダスのロゴが独自性に欠けるとして商標権を無効とする判決」という目を疑うようなニュースが毎日新聞に掲載されていました。

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EU裁判所の判決

 日本でも使っている人が多いドイツの大手スポーツ用品メーカー「アディダス」が製品に使っているナナメ3本平行線のロゴ(スリーストライプ)が、独自性に欠けるという理由で商標権を無効にする判断をEUの裁判所が下したというのです。

 スリーストライプをアディダスが採用したのは、当初はロゴとしてではなく、革製スポーツシューズの型崩れを予防するための補強バンドという役割でした。その後、この3本のラインをデザインとして扱い、3本線の靴はアディダスだというイメージが消費者の間で定着してきました。

経緯

 もともとは2014年にEUの知的財産庁(日本で言えば特許庁でしょうか)がアディダスが申請した3本の平行線の商標権を認めました。

 しかし、これにたいしてベルギーの会社(シュー・ブランディング・ヨーロッパ社)が無効だと訴えて、2016年に知的財産庁が「独自性がない」として商標権を取り消してしまったのだそうです。

 ちなみに、NHKの報道によれば、シューブランディングヨーロッパ社は2本のストライプの商標を持っていましたが、2018年にEUの裁判所がアディダスの3本ラインに酷似しているとして、商標権無効の判断を示しているそうです。

 しかし、アディダスはこの知的財産庁の決定を不服として裁判所に訴えていました。EUの裁判所は6月19日に3本の平行線は、パターンではなく普通の図形のマークだとしてアディダスの訴えを退けてしまい、EUの知的財産庁の決定を支持した形になりました。

 EU全域で消費者がアディダス製品だと認識できる独特のキャラクターになっていることを証明する必要があるとしています。アディダスはこれに対してEU域内の5ヵ国のデータを提出していました。

アディダスをめぐる日本での裁判例

 実は日本でも似たような事例があり、通販会社のニッセンが2005年に運動靴の分野で4本線のマークを商標登録しました。これに気が付いたアディダスは特許庁に対して、ニッセンの登録商標を無効にするための裁判の行ったことがあります。

 これに対して裁判所はアディダスの請求を退ける判決を実施し、知財高裁に上告されました。知財高裁では一転して、ニッセンの4本線の商標を無効とする判決をしています。

 今回のEUの裁判所の判決ですが、商標登録されているロゴについて、どこまでが図形でどこからがパターンなのか、その分け目が判らなくなるような判決で、様々な議論が出てくるのではないでしょうか。

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