日経ビジネスの記事などを読んでいると、楽天の携帯参入が10月サービス開始に間に合うかどうかを危ぶむ声が増えてきました。通信インフラの整備が予定よりも遅れているようです。
従来はMVNOとして、NTTドコモなどから回線を借りて、利用者に小口で貸し出すサービスを続けてきましたが、この10月からは東京23区、大阪市、名古屋市は自身で回線を準備してサービスを提供する形に生まれ変わります。しかし、いきなり全国で自社回線を準備するのは困難なので、準備できない地域についてはKDDiと提携して回線を借りる(ローミング)ことになっています。
基地局設置の遅れ
楽天側から見ると楽天が求める工事のスピードに工事会社がついてこれないという事情があるようです。ただ、計画が急ぎすぎていて、そもそも工事の実現性があったのかどうかという点は問われるのかもしれません。
また、インフラ全体の性能が十分かどうか、サービスを提供する環境で検証する期間が短すぎるのではないかという疑問の声もあります。コスト削減のために、米国スタートアップ企業であるアルティオスター・ネットワークスのソフトウェアを利用するという構成で進めています。この7月から性能検証が始まったようですが、残された期間でどこまで検証、及び問題発生時の対策が取れるかが鍵になります。
もしも、準備が間に合わなかった場合に備えて、東名阪でもKDDiの回線にローミングできるようにしておく、今の楽天モバイルが提供しているドコモの回線もKDDiの回線と合わせて利用できるようにしておく、自社サービスの開始は遅らせて、MVNOの事業を継続するといった選択肢を考えているかもしれません。
一方でエッジコンピューティング技術を使って、通信の際にセンターのサーバーまで行かずに自分に近いところにあるサーバーで処理することで、大量のデータを効率的にさばく構想を三木谷社長が講演していました。
既存の携帯電話各社は楽天がどのようなサービス品質、料金体系で勝負を仕掛けてくるのか、様子を見ている段階かと思います。今後の携帯電話サービスをめぐる環境がどのように変化していくのか興味深いてす。
【2019/08/19追記】
総務省の要請
総務省は楽天の基地局整備が遅れていることについて、「7月に今年度末の計画値を確実に達成するための修正計画の提出と実行」を要請したことを明らかにしました。
三木谷社長によれば、10月の段階ではユーザーを限定したサービスとして、数週間から2ヶ月程度でネットでの契約手続きを開始、その後に全国の店舗での受付をスタートする段取りを考えているようです。
楽天のMNOがiPhoneを取り扱うのかについては、ノーコメントという回答をしています。楽天モバイルのMNOの料金プランは9月上旬に発表されます。
【2019/09/24追記】
5000人限定の無料サービスとして開始
10月のサービス開始時は5000人限定の無料サービスになることが発表されました。設備構築が遅れているということだったので、これが良い選択だったのではないかと思います。
新ビジネスを始めるときはリスクがあっても挑んでいき、状況に応じて変えていくような姿勢は、日本で新たなサービスを立ち上げるときには必要なのではないかと思います。
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